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飛騨古川で食用サイズの「トラフグ」養殖に成功-釣り仲間「夢」が現実に

養殖プールで約30センチのサイズに育った「トラフグ」

養殖プールで約30センチのサイズに育った「トラフグ」

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 飛騨古川の「トラフグ研究所」(飛騨市古川町殿町、TEL 0577-73-7006)が2月12日、飛騨で初となる食用サイズのトラフグ養殖に成功したと発表した。

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 「大の釣り好き」という同研究所飼育員の深田さんは「海の無い飛騨地方に『海水魚の釣り堀』を作りたいと思ったのが養殖のきっかけ」と話す。2年前、地元の釣り仲間ら5人と「研究会」を発足。海水魚の大量飼育方法を研究するため、「市販の60リットル水槽を使いクサフグ3匹」で飼育実験を始めた。

 「全く餌を食べてくれずにあっという間に全滅した。そこで何かに火がついた」と深田さん。「全滅の原因を調べるうち、天然ものは人工餌での飼育がほぼ不可能。ならば養殖稚魚から飼育するしかないという結論に行き着いた」と話す。その後フグの生態や水質の研究を重ねつつ、ヒントとなりそうな県外の陸上養殖施設にも足を延ばした。

 その後、独学で養殖プラントの設計図を完成。「夢」を語る研究会メンバーを意気に感じた地元のホームセンターから敷地の一部を無償提供されたほか、賛同者から使わなくなったビニールハウスなどを譲り受けた。「何度も挫折しそうになった」という水漏れや電気系統のトラブルも克服しながらコツコツと自分たちで工事を続け、昨年4月に5トン水槽3基、1トン水槽1基の「養殖プラント1号」が誕生した。「水圧循環式なので水入れ替えの手間がほぼ無く、電気代もわずかなので極めて省エネ・低コストなのが、このプラントの特徴」と深田さん。

 同5月、近畿大学水産研究所白浜試験場からトラフグの稚魚300匹を入荷し試験養殖を開始。水質管理と生態研究に明け暮れて約1年、4センチだった稚魚は約30センチにまで成長、ついに食用サイズの「トラフグ」養殖に成功した。

 「一番の苦労は水質の管理だが、『こんな時どうすればいいか』など、試験養殖する中でいろいろと分かった。『白子』が取れるにはもう少し時間がかかるが食用には十分なサイズで満足。これで養殖方法は確立できたといえる。後はこのノウハウを使って飛騨の地域経済や、廃校を利用した『まちおこし』の提案など、飛騨のためになるような事がしていけたら。」と深田さん。

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