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「←パリ9900キロ」-高山に「遠過ぎる」方角表示看板、設置者の思いは?

高山市内の「中切踏切」付近に立つ方向掲示看板

高山市内の「中切踏切」付近に立つ方向掲示看板

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 高山市中切(なかぎり)町の踏切付近にユニークな方角表示看板が設置されている。

製作者の森本さんと方角表示看板

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 手製の方角指示看板には「高山市中切町 北緯36度8分・東経137度15分・海抜553メートル」と書かれた現在地を示すもののほか、「パリ9900キロ」「ウラジオストック895キロ」という「海外もの」4枚と「札幌市830キロ」「東京235キロ」「鹿児島市820キロ」といった「国内もの」6枚の計11枚が方角を示す向きと矢印で表示されている。

 看板を設置したのは、この土地の所有者で近所に住む森本重昭さん。森本さんによれば、初めて看板を設置したのは25年前、当初はもっと多くの表示板を設置していたが、約10年前に土台の木の老朽化と踏切移転工事のため取り外していた。3年ほど前に近所の知人から「あれ(看板)面白かったからまたやって」と頼まれ製作・設置したという。

 「ただ面白いだけの方向表示看板ではない」と森本さん。よく見れば土台の柱は昔ながらの木製電柱、方向表示板の中には「美浜原発135キロ」「テトボン(テポドン)940キロ」の文字も。随所に森本さんの思いが詰まっている。

 看板製作のきっかけについて、森本さんは「能登半島旅行の際、『狼煙(のろし)灯台』付近で同様の看板を見て面白いと思った。踏切待ちのドライバーの退屈しのぎにでもなればと、旅行から帰って来て早速製作を試み、国際地図を広げて距離を計測していた所、福井県美浜原発から高山までが直線距離で意外と近いことに驚いた」と話す。美浜原発までの距離は、25年前の設置当初から伝えたい森本さんのメッセージだという。

 付近の小学校から社会科の課外授業でクラスが訪れることもあるという同看板。「常に人と違う目線から物事を見て考えたい」と話す森本さんは「何もないと思われる場所でも、本当に何もないという事は絶対ない。人が暮らしている所にはその土地に住む人の思いと歴史がある。未来を担う子どもたちにも伝えたい」と感慨深く看板を見つめる。

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