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高山で「塩ブリ市」始まる-歳末恒例の初競り、1キロ8000円の大物も

威勢のいい掛け声が飛び交う「塩ブリ市」

威勢のいい掛け声が飛び交う「塩ブリ市」

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 高山市公設地方卸売市場(問屋町6)で12月24日、歳末恒例の「塩ブリ市」が始まった。

脂の乗った大きな「塩ブリ」

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 「塩ブリ市」は、飛騨地方の正月料理に欠かせない塩ブリの競り市として、高山で江戸時代初期から受け継がれている伝統的な歳末行事。今も昔に習い、競りの「呼びあげ」には「円」ではなく「貫(かん、がん)」を使う。

 手元の温度計がマイナス3度をさしたこの日の朝、開始を知らせる鐘の合図とともに塩ブリ市が始まると、はっぴ姿の競り人が「大きくて身の厚い、いいブリだよ」と塩ブリを高く掲げ、集まった40人の買受人から「3万貫」「4万貫」と威勢よく声が飛び交い次々と競り落とされていった。

 富山県氷見産や青森県大間産の天然ブリ20本が並んだ今年の塩ブリ市。初日の最高値は、富山県氷見産の13万6,000円(重さ17キロ)。1キロあたり8,000円と前年比3,000円高で取引された。市場関係者によると、今年は水温が高く近海物の水揚げが例年より2週間ほど遅いが、脂のりは良く品質は上々という。

 同日、同市場管理事務所では一般市民を対象に「塩ブリ市講演会・見学会」が開催された。集まった参加者28人は見学に先立ち、高山市史編纂(さん)委員の田中彰さんから「塩ブリ市」の歴史などを学んだ。

 「かつて人力で断崖絶壁を乗り越え命がけで運ばれていた塩ブリは、一部の富裕層しか口にできない大変高価な物だった。昭和20年代の高山でも、ほとんどの一般家庭がごく当たり前に代用品である塩イカを食べていた。昔の人の憧れや苦労に思いをはせ、飛騨の歴史文化をかみしめて継承していただけたら」と田中さん。

 見学を終え、参加女性の一人は「貴重な体験ができて勉強になった。今年は神聖な気持ちで塩ブリを味わい、神聖な気持ちで正月を迎えたい」と話す。

 塩ブリ市は今月30日まで行われ、飛騨各地の鮮魚店やスーパーでは正月用のブリを求める買い物客でにぎわいをみせる。

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