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高山の小学生が「発掘体験教室」で恐竜化石発見-「イグアノドンの歯」と判明

発見した化石を手にする牧ヶ野君(右)と鑑定を担当した京都大学助教の松岡さん

発見した化石を手にする牧ヶ野君(右)と鑑定を担当した京都大学助教の松岡さん

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 高山市荘川町で10月27日、高山市南小学校6年生の牧ヶ野文哉君が発見した化石が鑑定の結果、草食恐竜イグアノドンの歯と判明した。

牧ヶ野君が発見したイグアノドンの歯の化石

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 10月6日に高山市荘川支所が開催した「第2回化石発掘体験教室」中に見つかったもので、小学生による恐竜化石発見は初めて。大きさは高さ1.4センチ幅1センチほど。手取層群(荘川町)にある1億数千万年前とみられる岩石から採取した。

 鑑定した京都大学大学院理学研究科助教の松岡廣繁さんによれば、形状から見て草食恐竜イグアノドン類の歯の化石に間違いないという。「手取層群を研究する上で素晴らしい発見。よく見つけたと思う。これをきっかけに今後も化石に興味を持ってもらえれば」と話す。

 手取層群は約1億4千万年~6500万年前の中生代と呼ばれる地層帯で、これまでにもジュラ紀や白亜紀に生息した動植物の化石がたくさん見つかっている。新種としては同町ゆかりの学名が付いた「サクラサウルス」(トカゲ類)や「ショウカワイコイ」(コリストデラ=水生ワニ類)がある。

 「隊長!恐竜を発見しました」――「第一声を聞いた時は驚いた」。発掘に同行していた下島志津夫さんは当日の様子を振り返る。

 20年ほど前からハンマーとタガネだけの手作業で数々の貴重な化石を発見してきた下島さんは、その世界では名の知れた化石ハンター。地元の子どもたちにも化石を発見する目を養ってもらいたいと3年前には「恐竜探し隊」を結成し、年数回開く「発掘体験教室」で講師を務めながら後進の指導にあたってきた。

 牧ヶ野君は小学1年生からほぼ皆勤で下島さんと行動を共にしてきた古参隊員。「石の断面を見た時すぐにおかしいと気付いた。歯だとは分からなかったが、これまでと違う黒っぽくて太い物があったのでひょっとして恐竜の化石じゃないかと思った」と話す。

 「普通の人は石の断面を見ただけで恐竜の化石だとは分からない。そうと知らずたたき割ってしまうことも多く、小学生が見分けて正しい手順で発掘できたことがうれしい。これまで繰り返し教えてきたことがようやく実を結び、恐竜も見つかったことでちょっと肩の荷が下りた」と下島さん。

 「牧ヶ野君が今回見つけた歯は草食恐竜特有の咬合(こうごう)面がはっきりと分かる博物館レベルの美しい化石。私がこれまで見つけたイグアノドンの歯よりも見事でちょっと嫉妬(笑)」とも。

 牧ヶ野君は「まさか自分が本当に恐竜を見つけられるなんてうれしい。あと1回教室があるので、今度は大好きなスピノサウルスやステゴサウルスの化石を見つけたい」と意欲を見せる。

 化石は今後、荘川支所に展示される予定。

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