高山市国府町の酒販店5店で組織する「国府酒販倶楽部」が12月20日、冬季限定酒「飛騨国府のしずく樽出し一番にごり酒」を発売する。毎年恒例の手書きラベルを書く「いしはら酒店」(同町、TEL 0577-72-2012)は、今年の漢字に「倍」を選んだ。
地元有志が新たな町の名物にと開発した同商品は今年で16年目。一軒の地元米農家が特別栽培した酒米「ひだほまれ」を原料に、蒲酒造(飛騨市古川町)でごく少量を特別醸造する。今年もほどよい発砲感にまろやかな口当たりとフレッシュな味わいがマッチしたおいしい酒に仕上がったという。
販売コストがかかり過ぎるため、ラベルや販促ポップは各酒販店が毎年オリジナル製作する。各店主らは「無地のビン状態でこの酒が入荷すると年の瀬を感じる。ラベルの手書き作業は大変だが、お客さまが喜んでくれるので今年は何を書こうかと考えるのが楽しみ」と笑顔を見せる。
3年ほど前から「自分が選ぶ今年の漢字」をラベルに書いている「いしはら酒店」の石原嘉子さんは、今年の漢字に「倍」を選んだ。「清水寺の貫主さんには申し訳ないが、『輪』は正直ピンとこなかった。もちろんテレビドラマの『半沢直樹』にハマりにハマったのもある(笑)。半沢さんには今年一年、胸がスカッとしてやる気と元気をたくさんもらった。だから素直に『倍』」と話す。
「五輪の階級が消滅してしまった女子レスリングの吉田選手にも、今回の悔しさをバネに100倍返しの気持ちで頑張ってもらいたいし、来年は景気も倍々で明るい年になれば。日頃お世話になっている方へもぜひ当商品でご恩を『倍返し』してもらえれば」とも。
「捨てがたい漢字もいっぱいあったのでラベルにしたためてみた」という店内の棚には、「今」「今でしょ」「輝」「結」の文字も並ぶ。今後、在庫と見合わせながら客のリクエストにも応じるという。
価格は1本300ミリリットル入り=750円。清酒タイプの特別純米生酒「飛騨国府のしずく」は、300ミリリットル入り=700円、720ミリリットル入り=1,750円。限定数は合わせて1500本。売切れ次第終了。「国府のしずくの酒かす」は500グラム=200円。いずれも高山市国府町内の酒販店5店でのみ販売する。