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高山で建築廃材使った「日球ドーム」完成-初の「木製」、温室ハウスに活用

完成した木製日球ドームと日球さん(右)

完成した木製日球ドームと日球さん(右)

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 ゲストハウス「Village(ヴィレッジ)」(高山市国府町、TEL 0577-72-3988)に4月19日、建築廃材を使った木製の「日球(にっきゅう)ドーム」が完成した。

設置作業に取り掛かる日球さんら

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 日球ドームは、高山市在住の建築デザイナー「日球さん」が2003年から実用研究を進めている構造物。「C60」と呼ばれる炭素の分子構造と同じ正20面体(サッカーボール型)の1辺を分割した半球の構造形態で、交換容易な均一部材と2種類のジョイントによる正三角形の連続で構成されている。

 米マサチューセッツ州出身の建築家リチャード・バックミンスター・フラー(1895~1983)が1947年に考案した「ジオデシック・ドーム」を手本に、独自の改良点を加えた日球ドームは現在5世代目。これまでは構造材に竹を使った移動型ドームのみを制作してきたが、木材を使う常設型の試みは今回が初めて。

 日球さんは「木製ドームの課題をあぶり出す検証実験がしたくて図面を引いたが、手頃な木材がなかなか手に入らなかった。もう新品の角材を買うしかないと腹をくくっていた所、ちょうど良さそうな部材が手に入ったとの知らせを聞き、駆け付けた」と話す。

 ゲストハウスオーナーの牧島竜也さんは「たまたま近所の大工から、古民家の屋根を解体したのでまきストーブのたき物にどうかと廃材をもらった。あまりに立派だったのでもったいなく思い、日球さんに声を掛けた」と振り返る。

 その後、日球さんと牧島さんは1週間ほどかけて廃材を加工。この日は、木工クラフト作家の友人を交えた3人で設置作業に取り掛かり、ゲストハウス横の畑に直径約4メートルの木製ドームを完成させた。

 施工時間は約5時間。建設にかかった費用は部材固定用の金属ボルト代のみで5,000円ほど。ドームは今後、透明のビニールシートをかぶせて温室ハウスとして活用するという。牧島さんは「早速、今年植える稲の苗を育ててみたい」と笑顔を見せる。

 日球さんは「最小の表面積で最大の体積を持つ球体は、少ない材料で最も効率よく空間を覆うことができる。荷重も均等に分散するため構造力学的にも理にかなっている。今後の実験で得られる耐久データなどを検証し、さらなる改良を重ねたい。今回は廃材を利用したが、間伐材など均質な構造材が手に入る体制が整えば量産も可能。将来的には、木材の豊富な飛騨ならではの新たな事業や雇用につながれば」と期待を寄せる。

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