飛騨各地の「カタクリ群生地」で現在、薄紫色のカタクリの花が見ごろを迎えている。高山市と飛騨市の群生地では珍しい「白い花」も見つかり話題となっている。
カタクリは、花茎の高さ10~20センチほどのユリ科の多年草。片栗粉の由来としても知られ、高山市指定天然記念物。飛騨地域では早春の4月下旬から5月上旬にかけて一斉に花が咲き始め、高山市清見町大原、飛騨市宮川町杉原、大野郡白川村などのカタクリ群生地には、毎年多くの見物客が訪れる。
高山市清見町大原の「おっぱら自然体験センター」近くの斜面では今年、約4万株が咲く4000平方メートルのカタクリ群生地に1本だけ白い花が咲き、見物客の注目を集めている。
飛騨市宮川町杉原のスキー場跡地(現、まんが王国管理敷地)でも今月26日、高山市から見物に来た夫婦が、約8000平方メートルの斜面一帯に自生するカタクリの中に1本だけ咲いている白い花を見つけた。
まんが王国支配人の松永千郷さんは「長年カタクリを見ているが、白いカタクリを見たのは生まれて初めて。見た人に幸せを運ぶとの言い伝えもあるので、多くの人に楽しんでもらえるようみんなで大切に見守っていきたい」と笑顔を見せる。
飛騨地域の動植物に詳しい飛騨生態調査研究室室長の大森清孝さんによると、白いカタクリの花は色素遺伝子の突然変異による白花変種と呼ばれるもので、出現確率はおよそ1万分の1とされているという。
「カタクリも同じユリ科のチューリップのように遺伝的に変異しやすい傾向があり、実はもっと珍しい個体もある。見に行かれる際には、白い花以外にも変わり者がいないかよく注意して観察してみると面白い発見があるかもしれない」と話す。
カタクリの開花期間は2週間ほど。下草が茂り日光が当たらなくなると枯れてしまうため、見物は草の丈が短い今週末頃までがおすすめという。