御嶽山噴火、下呂「五の池小屋」全員下山-長野県側登山者救出急ぐ

御嶽山噴火直後の「五の池小屋」前の様子(下呂市提供)

御嶽山噴火直後の「五の池小屋」前の様子(下呂市提供)

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 9月27日11時52分ごろ、岐阜県と長野県の県境にある御嶽山(3067メートル)剣ヶ峰山頂付近で噴火が発生した。現在も噴煙活動の活発状態が継続している。

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 気象庁では同27日、御嶽山の噴火警戒レベルを5段階の「1」(平常=火口周辺などの立ち入り規制)から「3」(入山規制=登山禁止、危険地域への立ち入り規制)に引き上げた。同噴火の収束時期は不明。

 岐阜県警の警察官や山岳救助隊員、医療チームは28日4時30分、御嶽山の北陵「飛騨頂上」(標高2798メートル)9合目にある「五の池小屋」(下呂市小坂町)に残された人々の救助に向かい、同日9時過ぎ、現地に避難していた6歳と10歳の子どもを含む登山者25人と山小屋スタッフ、途中合流した男性1人を合わせた36人の無事を確認。ふもとのスポーツ施設で消防救急隊による健康状態チェックを行ったほか、負傷者2人を高山市内の病院へ搬送した。警察発表によると、岐阜県側はこれで全員が下山したという。

 岐阜県・長野県の両県警と消防、陸上自衛隊は29日朝、有毒ガス発生のため一時中断していた長野県側からの救助活動を再開。現在、山頂付近に残された登山者の安否確認と救出を急いでいる。今後も現地状況を見極めながらほかに登山者がいないか捜索範囲を広げる方針という。噴火当時は同山頂付近に250人ほどの登山者がいたと見られ、29日までに230人以上が下山。少なくとも40人以上が負傷し、死者は4人に上っているが被害状況の全容はまだ分かっていない。

 気象庁火山噴火予知連絡会は28日、拡大幹事会を開き同火山活動に対する見解を発表した。同会によると、今回の噴火は7年前の2007年に発生以来の「水蒸気噴火」で、規模は1979(昭和54)年10月28日(噴火場所=剣ヶ峰南斜面小火口群)の噴火と同程度。

 噴火場所は剣ヶ峰山頂の南西側。北西から南東に延びる火山列から発生したと見られ、同火口列から1キロ範囲で大きな噴石の飛散を確認したほか、南西方向に3キロ以上流下した火砕流跡も確認したという。気象レーダーの観測によると、東に流れた噴煙の高度は火口上約7000メートルと推定され、岐阜県、長野県、山梨県、静岡県にかけ今後も広範囲に降灰があるとしている。

 御嶽山では今年9月10日~11日、剣ヶ峰山頂付近を震源とする火山性地震を計137回観測したが、その後は沈静化していた。噴火前の地殻変動や噴気活動の変化は、2007年の噴火状況に比べて小さく予知は困難だったという。

 気象庁によると、現在「GNSS(全地球航法衛星システム)」による地殻変動を観測中で現時点では大規模な噴火につながる兆候は認められないとする一方、「27日の噴火以降、御嶽山の火山活動は高まった状態で推移しており、今後も噴火する可能性がある」という。同程度の噴火や火砕流をはじめ、爆発的噴火に伴う大きな空振、降雨時に土石流発生の可能性もあるとして近隣地域に警戒注意を呼び掛けている

 高山市と下呂市では28日、3カ所ある岐阜県側登山道入り口に入山禁止の立て看板を設置したほか、防災無線で市民に注意喚起を促し、外国人観光客らには入山規制情報などを日本語と英語でメール配信した。両市は今後、気象庁の噴火警戒レベル引き上げに応じて、対象地域に避難準備勧告を出す方針。

 長野と岐阜の両県警では現在、今回の噴火に関する行方不明者の安否情報や相談窓口ダイヤルを開設している。長野県警本部(0120-008-046)、同木曽署(0120-007-285)。岐阜県警下呂署(0576-52-0110)。

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