北アルプスの麓の里村に昨年9月にオープンした食品工房「ままみぃ」(高山市上宝町、TEL 0578-86-2165)が販売するアレルギー対応食品が話題を集めている。運営は食物アレルギー体質の子を持つ地元の母親ら4人。
きっかけは4年前、「パンを食べてみたいな」という子どもの一言だった。子どもには、小麦や卵、大豆、牛乳などに重い食物アレルギーがあり、市販の「米粉パン」の多くには小麦グルテンが使われているため食べさせる事ができなかった。グルテンフリーの「米粉パン」を手に入れようとすれば、お金と時間がかかる。「子どもが食べたい時に食べたいだけ食べさせたい。だったら自分たちで作るしかない」と、同じ食物アレルギーの悩みを抱える子を持つ、上宝町に住む3人の母親が集まり、試行錯誤の日々が始まった。
同店スタッフで開発メンバーの尾形景子さんは「原料の米をいろいろ試した結果、米にもアレルギー反応の出るものと出ないものがあった。最終的に通常の約4分の1の農薬で減農薬栽培をしている地元の米農家に行き着いた」と話す。パン製造に適した原料の米は手に入ったが、そこからが試練の連続だったという。水分量や製造法の微調整を繰り返しながら昨年6月ごろ、ついに小麦グルテンを一切使わないアレルギーフリーのふんわりしたパンが完成した。
「パンだ!おいしい!もっと食べる!」という子どもの第一声と笑顔が忘れられないと尾形さん。現在、高山市内外の保育園から「アレルギー体質の子の給食に使いたい」という注文もあるという。
同店では主力商品の「米粉パン」(1斤=700円、半斤=350円)に、小分けで使えるよう2切れずつ真空パックにした「米粉パン」(5パック1セット=700円)など主婦ならではの発想も。このほか、カボチャやサツマイモで甘みを出した米粉のクッキー「こめっキー」(20グラム入り3袋=450円)や、さまざまな料理に使える調味料「塩麹」(150グラム=360円、500グラム=1,180円)など、全てアレルギーフリーの商品を販売している。
子どもが遊べるコミュニティースペース「ままみぃ広場」も併設する同店。スタッフの辻さんは「アレルギーの悩みを持つ親もそうでない親も、気軽に立ち寄って子育ての情報交換の場になれれば」と話す。
「今後も、子どもたちを笑顔にする、米を使った新商品の開発に力を入れていく」と尾形さん。
営業時間は10時~15時(12月~3月)と9時~16時(4月~11月)。土曜・日曜・祝日定休(第3土曜は午前中のみ営業)。