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飛騨萩原で「おし祭り」-毎週金曜開催、途絶えた風習を現代版にアレンジ

天領酒造の無料試飲ブースを訪れる仮装参加者たち

天領酒造の無料試飲ブースを訪れる仮装参加者たち

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 下呂市萩原町の中心市街周辺で現在、恒例のはしご酒イベント「おし祭り」が開催されている。主催は、同町商工会と有志で組織する「萩原癒しの街推進協議会」。

秋の夜長を楽しむ女性グループ参加者たち

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 4年前に「ドリンクテーリング」から名称変更し続く同イベントは今年で8回目。高齢化や不況のあおりを受け低迷する地元のスナックや飲食業界を支援し、町ににぎわいを取り戻そうと始まった。

 同会スタッフによると、「おし祭り」は、飛騨・益田地方で春祭りの夜にだけ許された風習で、「おし」は「押し寄る」の意味。各家庭が振る舞い酒や料理を用意し、地元民を中心に見知らぬ者同士が家々を飲み歩いて親睦を深めた。同風習は、戦後から高度経済成長期にかけ全国に広まった「新生活運動」の呼び声と共に徐々に廃止に傾き、昭和50年代半ばを最後に途絶えたという。

 9月~10月にかけての毎週金曜に開く同イベントは、萩原町中心部の本町通り商店街にある「天領酒造」前に本部を設置し、同所か参加各店でまずチケットを購入。参加店の場所を記した地図をたよりに各店を訪ねて飲み歩く仕組み。チケット価格は、1枚1,000円3枚つづり1セット=3,000円(当日のみ有効)。

 今回は、スナックや居酒屋を中心に、すし、中華、イタリアン、創作和食、観光ヤナなど16店が参加する(観光ヤナは10月10日まで)。このほか、造り酒屋の天領酒造前で新作の日本酒やリキュールの試飲、天狗精肉店では営業時間を拡大して店舗前に試食ブースを設置し、特産の「なっとく豚」焼き肉、アユ飯おにぎり、ワインなどを振る舞う。

 各参加店では、「ドリンク1杯&1品料理」を基本に趣向を凝らした当日メニューを数種類用意。店によっては、ドリンク2杯&口取り1品のドリンク1杯分を「カラオケ1曲」に変更など、参加者の好みに応じたメニューの組み合わせにも対応する。

 同会ではイベントを盛り上げる企画として、おし祭り参加店で使える飲食券など総額10万円分を用意した抽選企画も実施。参加者を対象に「仮装賞」のほか、今回から新たに「全店制覇賞」「皆勤賞」を設け、全日程終了後、当選者を発表する。

 この日、仕事終わりに合流しグループ参加したという20代の地元女性たちは「どの店もおいしい物をちゃんと出してくれてお得感があるのでやみつきに。毎年この時期になると早く金曜日にならないかと待ち遠しい」と声をそろえる。

 同会事務局長の梅枝守さんは「特に大きな地元イベントもなく客足の寂しくなるこの時期に、毎回平均200人を超える人が参加してくださっている。女性参加者が多いのも特徴。近年は、当イベントを楽しみに遠方からわざわざ下呂温泉に宿泊されるリピーターも増えていてうれしい。小規模な町イベントならではの小回り効くフォローも効果を発揮している」と話す。

 「近隣の高山市や下呂市からも時間を気にせず安心して参加してもらえるよう、鉄道の最終便に間に合う時間でイベントを終了し、各店で点呼をかける取り組みも行っている。普段なかなか来る機会のない萩原のお店で楽しい秋の夜長を過ごしてほしい」と来場を呼び掛ける。

 開催日時は、毎週火曜18時~22時。イベント日当日は、参加店舗間を巡回するジャンボタクシーも無料運行する。10月24まで。

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