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高山で新駅舎建て替え計画についての意見交換会-市民有志が企画、市の担当者招く

現在のJR高山駅

現在のJR高山駅

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 高山市民文化会館(高山市昭和町)で11月28日、JR高山駅の新駅舎建て替え計画についての説明会と意見交換会「どう思う?高山駅」が開かれる。

高山駅新駅舎の完成イメージ図

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 主催は、市民有志らで組織する「高山市民のための高山駅を実現する会」。一般市民からの呼び掛けで開く意見交換会開催は今回が初めて。

 新駅舎建設計画を進める高山市に対して詳細内容の開示を求める市民への情報提供、一般市民による新駅舎議論の活発化、市の計画についての問題点を明らかにするのが狙い。

 当日は、高山駅新駅舎建設計画の陣頭指揮を執る高山市基盤整備部・駅周辺整備課から代表者を招き、現在進められているJR高山駅周辺の環境整備と新駅舎建設に関しての説明を受ける。

 説明会の後は、会場に集まった一般来場者から市の担当者へ質疑応答の時間を設ける。建築物の意匠に関する詳細や最新の進ちょく状況、計画に掛かる市の税金負担の割り振り、今後の運用に関する具体的な展望などを聞き、意見を交換する予定という。

 「実現する会」代表の天野拓さんは「10年ほど前から、日本各地で昭和期に建てられた味のある駅舎がどんどん取り壊されている。そのいずれも、言葉は悪いが、建築家の名ばかりが光る景観にそぐわない立派な箱か、公衆トイレのような粗末な小箱のどちらかに変えられている。飛騨の地も例外でなく、ひなびた田舎の無人駅で風情のあった久々野駅(高山市)や角川駅(飛騨市)が味気ないプレハブ小屋のようになってしまった」と肩を落とす。

 現在あるJR高山駅は1934(昭和9)年、旧・国鉄高山本線全通と同時に建てられ、岐阜県内で最大規模を誇る現役の木造駅舎。80年間、飛騨の玄関口として多くの人を迎え入れ、見送ってきた。あと20年たてば100歳建築物の仲間入りをする。

 同会のメンバーたちは「新駅舎の話は10年ほど前からうわさには聞いていたが、駅西側からの直接アクセスを図ると言ってもせいぜい連絡通路を渡すのみ。列車を降りてノンステップで改札口まで最短距離で来られる現在の1番ホームのバリアフリー機能はすでに折り紙付き。高山を代表する歴史的建造物の一つで地元民のランドマークだし、まさか全て壊すことはしないだろうと高をくくっていた」と振り返る。

 「しかし、2012年7月、一般市民に対し初めて行われた市主催のJR高山駅周辺整備説明会に参加して以来、取り壊しや改修の必要性、大義名分、目的、デザインに大きな疑問をもつようになった。『ちょっと待ってくれ。もう少し広くみんなに話を聞いてみて』と言いたくても、私たちには物を言う権限がなかった。そこで、市に情報開示請求を出し、待ちに待って得た情報を基にこれまでコツコツ、賛同者を集めてきた。SNSで署名も集めた。市長にも直談判した。だがついに、市が最終決定を下し工事が始まってしまった」と天野さん。

 市が平成29年度からの供用開始を目指す予定計画によると、新駅舎は東西でつなぐ自由通路を新設した上で、現在地上1階にあるホームを2階に引き上げる「橋上駅舎」に変える方針。総工費は約40億円を見込む。

 2本ある鉄道ホームにはバリアフリー施設として、エレベーターとエスカレーターを各1基ずつ計4基敷設。自由通路の東西入り口には、エレベーター2基とエスカレーター4基の計6基を置き、全体で計10基の乗降機で駅利用客の利便性を図るほか、多機能トイレをホームと東口の計2カ所に設けるという。今後、恒常的に発生する約1,100万円の年間維持費は主に市が負担する見込み。

 市の駅周辺整備課によると、新高山駅と駅周辺整備に関する検討会は2004年、中央・県・市の各行政機関や地元商工会などの代表者、大学の有識者ら13人による「高山駅周辺地区まちづくり協議会」の立ち上げと同時に、市民の代表者らを選出した第二組織の同協議会部会2団体(後に統合し1団体)の計3組織で発足。これまで10年間にわたり協議を重ねてきたという。

 同協議会は現在、会長に名城大学都市情報学部教授の大野栄治さん、副会長にNPO法人飛騨コンソーシアム統括の六角祐治さん、委員に高山副市長や各種団体の役員や職員など計19人で構成。同協議会部会は、部会長に前述の六角祐治さん、委員に高山警察署交通課長や高校の校長、駅周辺地区の町内会長など計12人で構成する。

 両会の会議録は高山市がホームページで公開しており、協議会は第11回(2012年10月開催)~第16回(2014年10月)まで、協議会部会は第13回会議(2013年7月)のみ閲覧することができる。

 「新しい高山駅舎は、神奈川県横浜市の内藤廣さんという方が設計してくださるそうで、有名な建築家らしいが、それを知って喜ぶ人が地元にどれほどいるのか。自分たちが住む場所の形は自分たちで考えたい。そう思うのは失礼なことだろうか…」と「実現する会」メンバー。

 「駅舎が明日にでもなくなるというのに、漠然とした情報だけが市民に公開されていて、新しい駅を楽しく活用する絵がイメージできるレベルの情報が何も公開されていないのは、たまらなく不安だ」と話す。

 「声を上げて現状を変えていくには、もう時すでに遅きに失しているのかもしれないが、駅舎はまだ今日も建っている。飛騨の未来を担う若い世代も交えて、とことんみんなで話し合い、正当な理由で壊すしか方法がないのならば、それはそれで仕方ない。何も知らずにこのまま壊されるのだけは嫌だ。最後の悪あがきだろうが、駅舎があるうちに知れるだけのことは知っておきたい」と声をそろえる。

 「私たちと同じような思いを持っている方はぜひご来場いただき、市の直接担当者に疑問をどんどんぶつけてほしい」と呼び掛ける。

 市の駅周辺整備課は「駅舎の取り壊しは12月1日から始める予定。ただ、工事スケジュールの都合もあるが、意見交換会で取り入れられそうな意見があれば、持ち帰って検討することも考えている」とも。

 開催時間は19時~20時30分。入場無料。

 このほか、11月30日には、一般市民を対象に高山駅の駅舎内覧会を開く。主催は高山市とJR東海。時間は10時~15時。

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