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高山で飛騨染の寒ざらし作業が最盛期-春祭り衣装、色鮮やかに

雪景色の屋外で「伸針」による祭礼衣装生地の寒ざらし作業

雪景色の屋外で「伸針」による祭礼衣装生地の寒ざらし作業

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 高山の「ゆはら染工」越後工場(高山市越後町)で現在、祭り衣装などの生地を屋外につるし冷気に当てる「寒ざらし」作業が最盛期を迎えている。

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 「飛騨染(ひだぞめ)」は約150年前、京都から飛騨の地に伝わったといわれる。宮本武蔵の伝記に登場する吉岡流四代目当主、吉岡憲法(吉岡清十郎)が開発した「裃(かみしも)」の染め物技術、「憲法染(けんぽうぞめ)」を源流に持つ。

 染色方法は、柿渋を塗った和紙に真ちゅうの「筒先」を取り付け、もち米粉・米ぬかから作られる「もちのり」を詰めた「筒」を使って、布生地に下絵の「線」を描いてマスキング(筒描き)し、大豆の汁で溶いた岩絵の具を塗り分けて染め上げる。染色は3人の職人が全て手作業で行っている。

 「寒ざらし」は、染め分けた生地を水にさらして屋外につり、「伸針(しんしん)」という針の付いた竹ひごで布を張った後、冬の冷気に当てるという作業。生地の色持ちが良くなり、ハリとツヤが出るという。この日は、飛騨の春祭りで使われる「闘鶏楽(とうけいらく)」や「獅子舞」に使われる衣装生地の寒ざらしが行われた。

 同社会長の柚原博明さんは「一度作れば100年でももつものを作っている。最近は祭礼を行う人たちの背が伸びているので一から仕立て直すものが多い。寺社の衣装は全て柄が違い、一つひとつ手作業なので大変だが楽しい」と話す。「この世界は30年修業してやっと一人前。最近では伝統を引き継ぐ職人に加え道具や顔料をそろえるのも一苦労。しかし大切な日本の文化を頑張って残していきたい」とも。

 昔は高山市内に8社ほどあったという「飛騨染」業者も、現在ではここ1社のみ。同社では、飛騨圏内のみならず全国から寺社関連の祭礼衣装の注文が相次いで寄せられる。このほか、飛騨染の「こいのぼり」「武者のぼり」や扇子、ポーチなどの小物雑貨も手掛ける。

 同社の製品は宮川朝市ほか市内2カ所のアンテナショップなどで販売する。

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