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きっかけは一通の注文メール-高山で「大槌復興刺し子プロジェクト」経過報告会

被災地の寄り合い所で刺し子仕事にはげむ現地女性たち

被災地の寄り合い所で刺し子仕事にはげむ現地女性たち

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 高山の飛騨・世界生活文化センター大会議室(高山市千島町)で5月9日、大槌復興刺し子プロジェクト報告会「手仕事のちから」が行われる。主催は飛騨さしこ(片原町 TEL 0577-34-5345)。

大槌町での刺し子仕事の風景

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 「針と糸から、復興への糸口を。手仕事から、未来の働き口を」――東日本大震災で甚大な津波被害を受けた岩手県大槌町で昨年6月、有志ボランティアが立ち上げ、今なお継続中の同プロジェクト。

 「比較的デザインの自由度が高く、針と糸と布さえあれば,場所を取らずに誰にでもできる」「伝統工芸技術を活用し、東北に根ざした文化の復興とビジネスモデルを構築したい」などの思いから手段として選ばれた「刺し子」は現在、被災地に住む女性たちの経済・精神の両面で重要な支えになっているという。

 当日は、同プロジェクトに技術支援と「刺し子糸」や布などの材料を提供している、「飛騨さしこ」三代目の二ッ谷淳さん、同運営元のNPOテラ・ルネッサンス代表の鬼丸昌也さんを交えて、これまでの活動を振り返る報告会と、今後に向けた現在の思いを語るパネルディスカッションを行う。

 「きっかけは一通の注文メールだった」と話す二ッ谷さん。「刺し子に使う糸の注文だった。そこには『大槌復興刺し子プロジェクト』の文字。震災後、義援金を継続して送ったり、物資を送ったりする中で、『もっと自分にできることがあるのではないか』と思っていた矢先の出来事だった」と振り返る。

 すぐさま「創業から40年、飛騨で培ってきた事業運営のノウハウやアイディアの提供」を申し出た二ッ谷さんは、仕事の段取りを付け昨年11月から2カ月間、大槌町に滞在した。

 「刺し子をしていた女性たちと交わした会話と笑顔が忘れられない」と二ッ谷さん。「刺し子をすることで、嫌な事を忘れられる」「これがなかったら、自殺していたかもしれない」「このプロジェクトは生きがい」…。

 二ッ谷さんは「自分のこれまでしてきた事が被災地の人々の生きがいとつながっている。嬉しいとか、ありがたいという言葉で表現できる感情でなく、温かくも柔らかい感覚で涙が止まらなかった。『手仕事の力』を実感すると共に、この先も半永久的にこのプロジェクトに関わっていこうと心に誓った」と力強く話す。

 開催時間は18時~20時50分。参加料金は1,500円(前売り=1,000円)。チケット売上金は全額、同プロジェクトの運営資金に充てられる。チケット販売や問い合わせは「飛騨さしこ」(TEL 0577-34-5345)まで。

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