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高山で30年前の「タイムカプセル」発掘-450人分の思い出、損傷皆無

30年ぶりに日の目を見るタイムカプセル

30年ぶりに日の目を見るタイムカプセル

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 高山市松倉中学校裏山の辻ヶ森神社お旅所(岡本町)で9月2日、30年前に埋められたタイムカプセルの発掘と開封作業が行われた。主催の上岡本町内会では現在、思い出の品の引き取りを呼び掛けている。

タイムカプセルの中身

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 タイムカプセルは1982(昭和57)年9月5日、上岡本町新区制40周年の記念行事として子ども会が企画し埋めたもの。当時、同町内に住んでいた小学校1年生~中学校3年生の生徒児童と家族ら約450人が思い思いの品を中に入れた。

 この日、埋めた場所を記す石碑の下を重機で慎重に掘り起こすと、地中約1メートルの場所から直径75センチ、高さ95センチ、重さ約130キロの円筒型のステンレス製タイムカプセルが顔をのぞかせた。30年ぶりに日の目を見るカプセルに、周囲からは温かい拍手が送られた。

 カプセルは発掘後、近隣の辻ヶ森公民館に運ばれ開封作業が行われた。町内会役員や住民が見守る中、恐る恐る中身を確認すると、内部に水の入り込んだ形跡はなく、色あせや損傷も皆無。全てが当時のままで、現場は安堵(あんど)の笑みに包まれた。

 30年前、無償奉仕でカプセル容器を製作、提供した大和ステンレス(上岡本町)の前川圭三会長は「中を開けてみるまで心配だったが無事でホッとした。同時にあまりの保存の良さにびっくりもしている(笑)。依頼を受けた時、30年でも100年でも絶対に持つ完璧なカプセルを作りたいと、真空技術に不燃ガス、まだ飛騨にはなかったアルゴン溶接など採算度外視でありったけの先端技術を投入した。やってよかった」と感慨深げに当時を振り返る。

 開封後の中身は公民館内に並べられ、本人への引き渡しが行われた。未来の自分に宛てた手紙、作文、文集、写真、うまく書けた習字、絵、手芸作品、学校のノートや教科書、当時の新聞、雑誌、漫画、カセットテープ、中には子どもの字で「一番売れているタバコ(180円)」と書かれたタバコ(セブンスター)やブランデーの入ったミニボトル、未開封のお年玉といった物も。

 当時の町内会子ども会役員だった畑中良造さんは「夜まで5時間かけて穴を掘り大変だったことを思い出した(笑)。中身がそのままの状態で残っていてくれたことがうれしい。あの時の子どもたちは今や立派な大人に育った。子どもに夢を与える担い手としてこれからも地域を引っ張っていってほしい」と話す。

 同町内会では現在、思い出の品の引き取りを呼び掛けている。町内会長の金子忠昭さんは「カプセルの中身を引き取りに来られた方はまだ70人ほど。1年間をめどに公民館で保管する予定だが、せっかくの思い出の品なのでなるべく早く本人の手元に引き渡したい」と話す。

 「引き取り時に知り合いの名前を発見したり、昭和57年当時の小中学生で高山市上岡本町に住んでいた友人を知っていたら、本人に伝えてあげてほしい」とも。

 辻ヶ森公民館では今月末まで、思い出が詰まったカプセルの中身を公開し本人に引き渡す。開館は毎週日曜9時~10時。

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