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飛騨金山で春祭りの「花みこし」準備佳境へ-地元民が集まり「花ざお」制作

花付けを終えた竹ざおを次々と運ぶ地元住民ら

花付けを終えた竹ざおを次々と運ぶ地元住民ら

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 下呂市金山町で現在、春祭りの呼び物「花みこし」の準備作業が佳境を迎えている。

現在の柯柄八幡神社例祭の様子

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 同町では毎年4月第1土曜・日曜に「下原八幡神社」(金山町下原)、第2土曜・日曜に「柯柄(えがら)八幡神社」(同町金山)と2週末連続で春の例祭を行っている。両祭りには毎回、地元の氏子らが力を合わせて制作する「花みこし」が登場し飛騨の山里に春の彩りを添える。

 花みこしは、長さ約3メートルから4メートル50センチの竹ざおに、ピンク色に染めた「美濃和紙」を桜の花びらに見立ててくくり付け、花束状にしてみこし屋根に飾ったもの。祭りごとに新調する和紙の花は、毎年2月初旬に氏子一世帯あたり平均500枚が割り当てられ、一家総出で「こより」から全てをコツコツと手作りする。

 花みこしのルーツは1926(大正15・昭和元)年、同町田島にある「七宗ダム」完成の折、当時の土木業者が「立派なみこし」を同町中宮町に寄進したことから。これを発端に、毎年地元民が町内ごとに竹と和紙で当時の世相を反映した創作みこしなどを作り始め、試行を繰り返した結果、1980(昭和55)年に岐阜県美濃市の「美濃まつり」を原型とする現在の形になったという。

 竹ざおの花付け作業を行ったこの日は、柯柄八幡神社・愛宕連(あたごれん)の4町内150世帯、160人が地元小学校体育館に集まった。家族や近所の人と協力しながら、竹ざおの長さに合わせて約300枚から900枚の花をくくり付け、「花ざお」計220本を仕上げた。完成した「花ざお」は今後、針金で一つに束ねてから宵祭り用に一本一本電飾を取り付ける。

 作業を終えて、今年で77歳になるという男性は「ああ、これで今年も花みこしが見られる」と笑顔を見せた。

 同連みこし総代の星屋一司さんは「何も金山町地域だけに限った話ではないが、少子高齢化による人口減少で祭りの維持に必要な頭数が年々減り続けている。花みこしをいつまで続けられるのかなという不安が毎年頭をよぎるが、今年もひとまずみんなでみこしの準備作業ができてホッとしている」と安堵(あんど)の表情を浮かべる。

 柯柄八幡神社例祭は4月13日・14日、両日は花みこし2基、本みこし2基、子どもみこし4基を担ぎ出し、金山町中心市街を練り歩く予定。見どころは、13日20時からの試楽祭(宵祭り)と、14日10時からの祭り行列、14時ごろ神社境内で行われる「みこしの練り回し」など。

 下原八幡神社例祭は4月6日・7日、同町下原地区で花みこし1基を含む5基の大人みこしを繰り出し、神社境内で練り回しや子どもによる花がさ踊りの奉納などを行う。問い合わせは同町観光協会(TEL 0576-32-2201)まで。

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