高山市松之木町にある「車田(くるまだ)」で9月18日、稲刈りが行われた。
岐阜県重要無形民俗文化財の車田は、くいを打った中心から車輪のような形で稲を作付けする全国的にも珍しい水田で、古くから続く車田で現存するものは新潟県佐渡市と高山の2カ所のみ。
かつては伊勢神宮に奉納する神供米を作っていたとのいわれがあり、今でも水が汚れないよう下肥は一切使わないなど神聖な水田として崇敬されている。現在は420平方メートルの車田にもち米の「高山もち」を栽培。毎年、車田所有者の平野正雄さんが地元の車田保存協力会と伝統ある風習を守りながら大切に育てている。
この日は、平野さん夫婦と娘の3人が稲刈り作業を行った。例年は平野さん家族と保存会が全て昔ながらの手作業で行うが、今年は台風18号の影響で日程が延期したため保存会員が手伝えず、途中からやむなく機械刈りに切り替えての作業となった。爽やかな秋晴れの空の下、平野さんらは次々と束になっていく稲を手際よく木の「はさ」に掛けていった。
収穫量は例年並みの約200キロとなる見込み。収穫したもち米の一部は、同町にある大八賀神社に奉納され、秋祭りや年越しのお供え物に使われる。