岐阜県警下呂警察署が1月10日、来庁者に担当課などを知らせる「庁舎案内板」をリニューアルした。
長年の使用による老朽化に伴い、下呂署管内の住民代表者らで組織する「下呂警察署協議会」と新しく共同製作した。同署によると、一般市民の意見を大幅に取り入れた警察の備品新調はかなり珍しいケースだという。
きっかけについて、下呂署次長の中澤俊介さんは「当署は飛騨地域で唯一、高齢者の免許書き換え窓口がある警察署。他署に比べて年配者の来庁者数が圧倒的に多い中、案内板の前で立ちすくんでいたり、担当課を巡り右往左往したりする場面にこれまで幾度となく遭遇し気の毒に思っていた。せっかく新しくするなら使う側の意見を反映したものを作りたかった」と話す。
昨年11月中旬から協議会員らと意見交換会を行い、「見やすさ」「分かりやすさ」重視で、「典型的な役所型」「用件ありき型」「階ごとに数枚分け型」の試作品全4パターンを製作。話し合いの結果、「用件ありき型」を採用し細部を煮詰め直した。「旅館経営者や販売業、製造業などいろいろな業種の協議会員の方から実体験に基づく有意義な意見が聞けて非常に参考になった」と中澤さん。
協議会メンバーたちは「課に行って初めて担当内容が分かる官公庁の案内板は、互いにとって不親切で仕事効率も悪いと常々思っていた」「下呂署にこれまで案内板があることをまず知らなかった(笑)。敷居が高いイメージがあったので、私たちが作ってもいいの?ということに驚き、感動した」と話す。
新しい案内板は威圧感を与えないパステルカラーをベースに、文字も長年使ってきた固いイメージの明朝体から、柔らかさを感じさせる丸ゴシック体に変更。「おとしもの」「ひろいもの」「免許関係」など用件を大きく表示し、その下に「会計課」「交通課」など担当課を色分け表示した。
デザイン依頼を受けた地元の看板店「コイケ看板」の吉本拓也さんは、より親しみやすさを持たせようと当初の予定に含まれていなかった同署のヒーローキャラ「ゲロッピィ」のイラストを入れた。
「手持ちのソフトで苦心して作ったとみられる元イラストを、オリジナルのテイストを損ねない範囲で少しきれいにさせてもらった。アドリブで余計なことをしたかと思ったが、反対意見も出ず満場一致で採用された」と笑顔を見せる。
現在、ゲロッピィのイラスト上部には下呂署員が作った「冬眠中」のマグネットシートが。今後も「出動中」など現況を表示していく予定という。同署は「困り事があればもちろん、案内板を見に来てくれるだけでもいい。いつでも気軽に立ち寄っていただければ」と呼び掛ける。