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高山で「裃」テーマの企画展-地元出身の服飾学生による「現代風」裃も

高山出身の向祐平さんがデザインを手掛けた現代風裃

高山出身の向祐平さんがデザインを手掛けた現代風裃

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 飛騨高山まちの博物館(高山市上一之町)で現在、男性用の和装礼服「裃(かみしも)」に特化した企画展「まつりを纏(まと)う~高山の裃(かみしも)文化」が開催されている。

後ろから見た現代風裃

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 4月14日・15日の「高山祭(山王祭)」を目前に控え、飛騨地方の祭礼時には地元男性が必ず着用するなじみの衣装「飛騨裃」にスポットを当てた同展は今回が初めて。

 同館学芸員スタッフによると、飛騨ではこれまで当たり前のように裃文化とともに生活を送ってきたためか、ありそうでなかった企画で、展示に際して国内の文献や資料を当たった所、裃に関する情報が予想をはるかに超えて少ないことに驚いたという。

 「近年の研究者や論文が見当たらないのも、比較対象となりそうな文化を持つ地域がないせいではないか。そもそも、祭りで必ず着るからと各家庭に一着、家紋入りの祭礼用裃を持っている地域自体が珍しいのではと推察するほかない」と話す。

 そこからは地元の強みで、飛騨在住の現役裃職人や町の古老から新情報を手繰り寄せ、展示にこぎ着けた。「調査や聞き取りを通じて分かったのは、やはり特殊な庶民文化ということ。今回をきっかけに今後さらなる研究を続けていきたい」と意欲を見せる。

 同展は、「裃の概要」「高山の裃文化」「裃を支える技」「若い世代と裃」の4部構成で、江戸期から現代までの飛騨裃の変遷史料約60点を展示する。

 若い世代が発想する裃作品展示では、高山出身の26歳で現在、オーストリアのウィーン応用美術大学ファッション科で服飾を学んでいる向祐平さんが、和裁を学ぶ若者に協力を仰ぎ「現代風」裃を制作した。絞り染めの技法でブリーチをかけたデニム生地にシルクスクリーンで高山祭の「カンカコ(闘鶏楽)」衣装の図案をプリントし、袴(はかま)部分を鳥の羽で覆った。

 作品について向さんは「以前、授業で『ヨーロッパの歴史衣装を自分の感覚を使って表現する』という課題が出た際、どうしても裃のことが頭から離れず、衣装と裃を融合させたフォルムを作った。幼少のころから影響され続けてきた『歴史衣装=祭衣装』という意識がにじみ出てきたのだと思う。今回仕上げた自分なりの『今っぽさ』を表現した裃を『何だか面白いなぁ』と感じてもらえたら」と話す。

 開催時間は9時~19時。入場無料。5月11日まで。期間中、4月26日・27日と5月3日~5日は同館学芸員の男性が裃、女性が着物姿で展示内容を解説する「着物でギャラリートーク」を開く(13時30分~14時10分、参加無料)。

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