平田酒造場(高山市上二之町、TEL 0577-32-0352)の「熟成古酒 飛騨の華 酔翁(すいおう)」が日本時間の7月17日朝、英ロンドンで開かれた「IWC2014アワードディナー」の席上でSAKE部門の最高位「第8代チャンピオン・サケ」に輝いた。
IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)は、世界最大規模・最高権威と称されるワイン品評会。日本酒を審査する「SAKE部門」は2007年から始まり今年で8回目。今回は同部門に261の蔵元が過去最多となる725銘柄を出品した。
酔翁は今年5月、IWCで日本酒37銘柄が受賞した「GOLD(金賞)」7部門の各首席に贈られるトロフィー賞を受賞。同銘柄は2011年の出品から4年連続で受賞歴(銅賞1回、金賞3回、トロフィー賞2回)があり、今回「チャンピオン・サケ」獲得の期待が懸かっていた。
平田酒造場の平田敬二社長は「海外の方に、純米大吟醸など華やかな酒とは対照的ないぶし銀の古酒をまさか選んでもらえるとは。手作りにこだわり少人数でこつこつやってきたかいがあった」と笑顔を見せる。
平田社長によると、酔翁は今から19年前、同酒造場の代表銘柄「飛騨の華」の原酒を10年ほど寝かせたらどんな味になるかと、独自の長期熟成方法を杜氏(とうじ)と考案し試験的に仕込んだ酒。8年後、最初のタンクを開封してみると、これまでにないまろやかさと風味を持った琥珀(こはく)色の酒に仕上がっており、販売すると飛騨内外の日本酒好きの間で瞬く間に評判が広がったという。
酔翁の販売量は現在、平成6年と同7年に仕込んだタンク内にあるのみ。今あるストック分を売り切った場合、その後の販売めどは立っていない。同酒造場では現在、早くも「幻の酒」フラグ成立のうわさを聞きつけた全国の日本酒ファンから購入注文が殺到し、社員が対応に追われている。
平田社長は「酔翁はアルコール度数が19度前後と高めで、ダブルグラスなどに入れロックでちびりちびりとやる酒。本当にもうごくわずかしかないので大量注文に対応できないのが心苦しいが、できるだけたくさんの方に楽しんでいただきたい。私は、料理を食べながら飲む酒は日本酒が一番だと思っている。飛騨にはそれぞれ違った個性が光る12の蔵元がある。旅行やビジネスでお越しの際は、ぜひ奥深い飛騨の地酒の世界に触れてほしい。今後一層、日本酒文化が世界に羽ばたいてくれるきっかけになれば」と期待を寄せる。
酔翁の価格は、720ミリリットル入り=4,050円、300ミリリットル=2,050円、180ミリリットル=1,100円。同酒造場の営業時間は8時~17時。