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飛騨神岡で地中探索ツアー-現役鉱山坑内、地下研究所見学など

普段は一般立ち入り禁止の鉱山坑内を見学できる(スーパーカミオカンデ実験区域で)

普段は一般立ち入り禁止の鉱山坑内を見学できる(スーパーカミオカンデ実験区域で)

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 飛騨市神岡町の「神岡鉱山」で7月19日、地下1000メートル付近の鉱山坑道内を巡る地中探索ツアー「ジオスペースアドベンチャー(GSA)」が開催された。

坑内で活躍する大型重機展示コーナー

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 地元有志のボランティアスタッフで組織する「GSA実行委員会」が中心となり、同鉱山を運営する神岡鉱業(同町鹿間)、同坑内に宇宙物理学実験の地下研究所を持つ東京大学などと連携して行う夏の恒例ツアーイベントは今年で21回目。

 通常、命の危険が伴う鉱山坑道内と国家プロジェクトの精密機器が並ぶ研究所内に一般人が立ち入ることは固く禁じられているため、立ち入りが許されるのは唯一、毎年の同ツアー時のみ。毎回限定数の参加抽選枠には全国から多数の希望者が申し込み、今年は800人の募集に対し約1440人が応募。当選倍率は1.8倍だった。

 ツアーではこの日、はじめに鉱山横坑から1500メートルほど進んだ坑道内で、江戸時代の手掘り作業から大型重機を使った近代掘削まで神岡鉱山の歴史を学んだ。途中、現役の大型ダンプがごう音と共に登場し、通称「ジャンボ」と呼ばれる掘削機などもデモンストレーションを披露。ツアー参加者らは間近で見る大型重機の迫力に圧倒されていた。

 このほか、坑内の明かりを全て消して光が届かない暗闇空間を体感する「暗黒体験」、別名「幽霊(ゆうれい)粒子」と呼ばれる「ニュートリノ」を検出する東京大学宇宙線研究所の観測装置「スーパーカミオカンデ」の見学、同装置のタンク真上で、東京大学の研究チームスタッフから宇宙物理学のミニ講義などが行われた。

 ツアーバス発着場所の神岡公民館では、GSA限定の土産やご当地グルメコーナー、神岡鉱業による鉱山解説コーナー、光電子増倍管メーカー「浜松ホトニクス」(静岡県浜松市)による展示コーナーなどを多彩なイベントブースが軒を連ねにぎわった。

 同日夜には東北大学ニュートリノ科学研究センターの古賀真之準教授を講師に招いたサイエンスセミナー「ニュートリノで見る地球」講演、同町内にある「神和荘」では「かみおかかがく映画館」も行われ人気を集めた。

 千葉と東京から来たという友人同士の30代女性2人組は「JAXA(宇宙航空研究開発機構)イベントや企業のプラント見学などが趣味で、現役の研究施設に目がない『研究所フェチ』(笑)。GSAツアーは倍率が高いと聞いていたので、2人とも当選して本当にラッキー。楽し過ぎる1日だった。スーパーカミオカンデ見学が一番の目玉だったが、大型重機の想像以上の迫力とかっこよさにしびれた。新たな興味の世界の扉が開いた感じ」と笑顔を見せていた。

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