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岐阜県でドングリ大凶作、全域に今秋「クマ大量出没」注意呼び掛け

東海北陸自動車道松ノ木坂パーキングエリア(高山市荘川町)に設置中のクマ注意看板

東海北陸自動車道松ノ木坂パーキングエリア(高山市荘川町)に設置中のクマ注意看板

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 岐阜県自然環境保全課(TEL 058-272-8231)が現在、今年のドングリ大凶作により「ツキノワグマが人間の生活圏に大量出没する可能性が極めて高い」として県内全域に注意と警戒を呼び掛けている。

クママップ

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 岐阜県内のほぼ全域に生息するツキノワグマ(以下、クマ)は、ブナ・ミズナラ・コナラのドングリ類を主要なエサとしており、9月~10月にかけ野山で冬眠前の捕食を活発的に行う。特に子グマを連れ添った親グマは攻撃性が強く、出会った場合は被害に遭う危険度も高い。

 同課では今年8月21~27日に県内5地域、計26地点で今年のドングリの着果率状況を目視調査した所、飛騨地方では5段階評価でブナとミズナラがゼロの大凶作、コナラも0.3%と、全域で大凶作と言っていいクマのエサ不足を確認。人里へのクマ大量出没に注意を呼び掛ける判断を下した。

 県のドングリ調査は2008年から、クマ出没との因果関係を調べるために行ってきたもので、クマの大量出没が起きた2010年もドングリが凶作だったという。県担当者によると、調査前の2006年にもドングリ不足が原因と見られるクマ大量出没があり、これまでのケースからほぼ4年周期で起こっているとしている。

 県内全市町村のクマ目撃情報を地図上に記したウェブサイト「岐阜県クママップ」によると、今年4月~8月の目撃データは前年比135%(昨年=292件、今年=395件)と著しく増加。9月に至っては8日現在で34件と、すでに昨年同月分の32件を上回るペースで発生している。

 同サイトでは、これから秋の紅葉シーズンを迎える乗鞍岳の行楽客や登山者に向け「乗鞍岳畳平周辺のクマ出没情報」も開示。乗鞍総合案内所(高山市丹生川町、TEL 090-8671-3191)では現在、クマ情報の事前チェックと現地での目撃情報を呼び掛けている。

 標高日本一の1085メートルに位置する東海北陸自動車道・松ノ木坂パーキングエリア(高山市荘川町)でも、トイレ前にクマ出没注意看板を設置。道路を管理するネクスコ中日本が道路緊急ダイヤル(♯9910、通話無料)で、高速道路エリアでのクマ目撃情報の通知を呼び掛けている。

 県担当者は「キノコ採りや紅葉狩りなどで野山に入る場合は、『クママップ』情報を参考に十分注意してほしい」と話す。野山でクマと出会わないためには、「ラジオやクマ鈴など音の出る物を携行し人間の存在を知らせる」「単独行動は避け2人以上で行動」「新しいふんや足跡を見付けたらすぐに引き返す」「クマに味を覚えさせないよう残飯などは必ず持ち帰る」と注意を促す。

 もしクマに出会ってしまったら、「クマがこちらに気付いていない場合=速やかにその場から離れる」「クマがこちらに気付いた場合=背中を見せず、そのままゆっくりと後ずさりしながらクマから離れる(大声で威嚇したり背中を向けて走ったりは逆効果)」「クマから攻撃を受けそうになった場合=とにかく急所(顔面・首・後頭部・腹部)を守る」とも。

 クマを集落周辺に寄せ付けない自衛策としては、「生ゴミを田畑に捨てない」「カキ、クリなどクマを誘引する果樹の実は残さず採取」「利用しない果樹は伐採」「利用している果樹は、トタン巻き付けなどで防除」、特に狙われやすい果樹園、養蜂場、養魚場には「電気柵の設置」などを呼び掛けている。

 人家周辺などでクマや新しい痕跡を目撃した場合は、近隣の市町村役場か県振興局環境課まで。

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