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奥飛騨温泉郷で「サンショウ」収穫ピーク 谷あいの山里にさわやかな香りの風

たわわに実ったサンショウの実を摘み取る地元サンショウ農家の野澤政勝さん

たわわに実ったサンショウの実を摘み取る地元サンショウ農家の野澤政勝さん

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高山市奥飛騨温泉郷で現在、特産物の「飛騨・高原(たかはら)サンショウ」の実が収穫のピークを迎えている。

飛騨・高原サンショウの天日干し作業

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 新平湯温泉郷にあるサンショウ粉メーカー「飛騨山椒」(高山市奥飛騨温泉郷村上)の集荷場には連日、地元のサンショウ農家が手摘みする青々とした実が続々と運び込まれ、谷あいの里山はサンショウ特有のさわやかな香りに包まれている。

 サンショウはミカン科の低木落葉樹。「飛騨・高原サンショウ」は標高約800メートルにある同地の高原川流域半径5キロ圏内で栽培され、例年7月下旬から収穫・出荷が始まる。飛騨の特産品として、江戸時代には飛騨郡代が徳川将軍家に献上した記録も残る。

 「飛騨山椒」の内藤一彦社長によると、国内では一大産地として知られる和歌山のブドウサンショウ、京都や兵庫を中心に広く栽培されているアサクラサンショウがあるが、奥飛騨のサンショウは、野山に自生する中から香りの強い個体のみを選び、接ぎ木によって増殖させた地域独自の産物で、代々にわたり守り継いでいる野生種の優良系統という。

 「飛騨・高原サンショウは、深い緑色、小粒で辛み、痺(しび)れが強く、一年たっても衰えない香りの持ちのよさが特長。実の摘み取りから陰干し・天日干し・種取り・選別・粉ひきに至るまでの工程は全て手作業で行っている。生産量はほかの産地に比べはるかに及ばないが、市場では一番高値が付く」と胸を張る。

 この日、夫婦で収穫作業に精を出していたサンショウ農家の野澤政勝さんは「今年は5月に雨が少なかったため、いつにない豊作。晴れた日は毎日、日の出から日没まで収穫作業に追われ休む暇もなく忙しいが、腰カゴいっぱいに重さを感じながらの作業は楽しく、うれしい」と目を細める。

 サンショウの実の収穫作業は8月中ごろまで続くという。

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