食べる 暮らす・働く 学ぶ・知る

高山・原山公園にダイニングカフェ-NPOが開業、障がい者と社会の接点増やしたい

来店を呼び掛ける岩本啓吾さん(右)とNPO理事長の大坪徹さん(左)

来店を呼び掛ける岩本啓吾さん(右)とNPO理事長の大坪徹さん(左)

  • 0

  •  

 高山の原山市民公園内に5月18日、「ダイニング&カフェ原山」(高山市新宮町)がオープンした。経営は、障がい者就労支援事業所を運営するNPO法人「ハートネット」(同町、TEL 0577-35-9506)。

店内の様子

[広告]

 元スキー場のロッジを改装した同店。店舗面積は約12坪。席数はカウンターとテーブル合わせて40席。内装は木と緑の自然をイメージした。窓からは広大な芝生公園の全景や遠くに3000メートル級の山々が連なる飛騨山脈が見渡せる。店内の一角には、事業所の利用者が作った手芸作品の販売スペース、地元の福祉関連情報、観光スポット、イベント告知などの案内コーナーも設ける。

 以前ラーメン店を経営していた地元男性が料理長を務め、事業所の利用者たちがスタッフと共同で料理の盛り付けや接客に当たる。建物2階にはクラフト作業所も併設。理事長の大坪徹さんは「自然に囲まれた開放的な空間で、のびのびと明るい気持ちで仕事にやりがいを持ってもらえれば」と話す。

 メニューは、コーヒー(380円)、オレンジジュース(150円)、ノンアルコールビール(180円)、ショコラケーキ、ベリーベリーケーキ、ベイクドチーズケーキ(以上、300円)、飛騨高山中華そば(600円)、ざる中華そば(550円)、飛騨牛すじカレー(前菜・サラダ付き、680円)、若どり空揚げ(500円)、静岡県富士宮市から麺を取り寄せているという「肉かす入り焼きそば」(550円)など。

 平日11時~14時は、ランチセット(700~750円)も用意。ドリンクやフードの一部はテークアウトにも対応する。

 「当事業所利用者の個人所得のベースアップにもつながれば」とも。大坪さんによると、これまでの利用者の仕事は、リサイクル資源回収、割り箸の袋詰め、クラフト作品販売などが主で、1人当たりの平均賃金は月3万円ほど。「性格や個性だって健常者と同じ十人十色。接客業に向いている利用者もたくさんいるのに…。障がいへの理解不足から生じる厳しい現状から、何とかして光明を見つけたい」と話す。

 「障がい者の活躍の場を広げるため、一般社会との接点をたくさん作ることが私たちの使命。この店を今後、地域、年齢、同種・異業種の垣根を越えて活発に交流が深められるきっかけの拠点にしていきたい」と意欲を見せる。

 今年3月、ソチ冬季パラリンピック・スキー競技に日本代表選手として出場した岩本啓吾さんも同店で働く。「オープン初日は時間があっという間に過ぎてしまうほど忙しかったが、『頑張ってね』『応援しているからね』と声を掛けてくれるお客さまもたくさんいてうれしかった。スポーツと生活は誰かの支えがないと両立できない。応援してくれる人の声を励みに、一つ一つ責任を積み重ねながら、いろいろな夢をかなえていきたい」と笑顔を見せる。

 大坪さんは「4年後の平昌(ピョンチャン)開催には、この店でパブリックビューイングを行うのが夢」と期待をふくらませる。

 営業時間は10時~15時。木曜定休。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース