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飛騨神岡で「宇宙物理学×希望学」講演会-東大研究所の教授が異色コラボ

片腕3キロメートルのL字構造を持つ重力波望遠鏡「KAGURA」のトンネル内分岐点

片腕3キロメートルのL字構造を持つ重力波望遠鏡「KAGURA」のトンネル内分岐点

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 飛騨市神岡町の神岡公民館で6月4日、専門分野の異なる研究者2人による講演会「宇宙×希望~2つの異なる分野が出会った時、新たな世界が広がる」が開催される。主催は飛騨市と飛騨市教育委員会。

「KAGURA」イメージ図

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 世界初の大型低温重力波望遠鏡「KAGURA(かぐら)」建設のため今年3月末、旧神岡鉱山の地下に掘削総延長距離7,697メートルのトンネルが完成したことを記念して行う同講演会。講師には、東京大学宇宙線研究所の大橋正健教授と、東京大学社会科学研究所の玄田有史教授を招く。

 大橋教授の専門は「宇宙物理学」。現在、国内28機関155人、国外3機関76人の共同研究者が参画する研究プロジェクト「KAGURA」の重力波推進室神岡分室長を務める。重力波は時空の歪みが波のように周囲に光速で伝わる現象。1916年、アインシュタインが一般相対性理論でその存在を予測し、1974年に天文学者ジョセフ・テイラーとラッセル・ハルスが間接的に存在を証明。今年3月には南極で米カリフォルニア工科大などのチームが直接観測に成功したと発表している。

 同プロジェクトではKAGURAを使い、重力波の直接的検出を目指す。実験が成功すれば、電磁波では直接観測することのできないブラックホールの直接観測、重力と時空の動的な関係の検証、強い重力場における物理現象の観測と解明が可能になるという。KAGURAは現在、実験棟の建設と装置の配備が進められており、2017年度に観測運転を本格稼働する予定。

 玄田教授の専門は「労働経済学」。2005年から東大社会科学研究所の全所的プロジェクト「希望学」のリーダーとして活動。東日本大震災被災地や北陸地域で「希望」についての思想研究や実態調査を行い、希望と幸福の違い、地域社会にとっての希望、地域に希望が生まれるための条件などを研究している。

 ニート(若年無業者)研究の第一人者としても知られ、昨年1月には文部科学省の委託で「SNEP(スネップ=孤立無業者)」の現状と課題を調査、実証分析した。SNEPとは「20歳以上59歳以下の在学中を除く未婚無業のうち、普段ずっと一人か家族以外いない人々」。

 大橋教授と玄田教授は同じ学内で面識があり、交流があったため今回の講演会につながったという。当日は両者による対談も行う。

 実行委員スタッフは「全く異なる専門分野の第一線で活躍する研究者が一度に講演する機会は非常にまれ。当日は年齢制限もないので小学生でもオーケー。若い人にこそたくさん聞きに来てほしい。地域社会と宇宙というミクロとマクロの視点で、共通する希望の何がしかをつかみ取り持ち帰ってもらえれば」と来場を呼び掛ける。

 18時30分開場、19時開演。入場無料。

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