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飛騨古川にゲストハウス「iori」-築80年の「離れ」改修、築140年の母屋と連携も

ゲストハウス「iori(いおり)」外観

ゲストハウス「iori(いおり)」外観

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 飛騨古川の四十八滝口バス停近くに8月30日、ゲストハウス「iori(いおり)」(飛騨市古川町大野町)がオープンした。

共同オーナーの松場さんと林さん

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 築80年の民家一棟を改修した同施設。1階は、共同キッチン兼談話ルーム、無料シャワー室、広さ8畳の個室1部屋、2階は10畳と8畳の共同宿泊スペース2部屋、全館フリーWi-Fiを備える。宿泊受け入れ人数は12人ほど。

 同施設はもともと、昨年9月に築143年の古民家を改修しオープンした多目的施設「吉城の郷(よしきのさと)」(同)の「離れ」として空き家になっていた建物。ゲストハウスへのアクセスは、「母屋(おもや)」である「吉城の郷」の脇を通り土蔵と土蔵の間を抜って突き当たり。のれんをくぐり飛び石を配置した坪庭のエントランスを経由して玄関扉に至る。

 オーナーは、同市出身で幼なじみの同級生という林賢司さんと松場慎吾さんが共同で務める。林さんは地元で造園業を営む庭師。松場さんは外資系銀行で7年間、企業の資金調達などを担当していた元ビジネスマン。

 2人によると、初めのきっかけは東日本大震災直後。飛騨の伝統玩具の「さるぼぼ」を300個買い込んで車に乗り込み、復興ボランティアへと向かった2人は、往復の車中で「自分の生まれ育った故郷の未来」について、深く語り合ったという。

 最大の転機は昨年秋、当時ひどく荒れ果てていた「吉城の郷」の庭の造園を林さんが担当し復旧。同館オーナーに熱意を見込まれ、離れの運用を薦められた。松場さんに連絡をとった所、「飛騨の昔ながらの質素な生活が感じられる古民家を生かしたゲストハウスをやろう」と意気投合した。

 今春、長年のビジネスマン生活に終止符を打ち帰郷を決めた松場さんが京都で1カ月間、ゲストハウス経営のノウハウを学ぶ実務経験を積む一方、林さんは離れのリフォーム工事監修と坪庭の造園を手掛け、今夏のオープンにこぎ着けた。

 2人は「この場所は鉄道駅からのアクセスが悪く、『宿泊商売には向かないからやめたほうがいい』と気遣ってくれる人もたくさんいたが、ほかのゲストハウスには真似したくてもできない、ここにしかない物、ここでしかできない事がある。一つ一つ具体的なアクションを起こしながら、それを証明していきたい」と声をそろえる。

 「吉城の郷」オーナーの石原捷栄さんは「飛騨の歴史ある古民家を次世代に残さねばならんという一心で徒手空拳の復旧だったが、今こうして意志を持った地元の若い人がよそから帰ってきてくれた。もうそのことだけで満足してしまいそうだが、聞けばまだまだ自分にもできることがありそうだ」と意気込む。

 「年寄りには思いも付かないような企画や楽しい未来の話に勇気をもらい感激している。動くスピードが速い。人望も人格もある。この年になって目からうろこがとれる思い。残してよかった」と目を細める。

 母屋と連携するため、宿泊者は「いろり」「かまど」「広い和室」などを日中の時間帯に使うこともできる。「このゲストハウスを拠点に周辺観光に赴くもよし、ずっとここでのんびり過ごすもよし。それぞれの価値観で自由に時間と空間を使ってもらえたら」と利用を呼び掛ける。

 宿泊料金は、1泊素泊まり=1人3,000円。個室利用料は要相談。16時チェックイン、11時チェックアウト。詳しくはフェイスブックページで確認できる。

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