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飛騨・萩原町で「がんどうち」-桃の節句に子どもたちが家々回る

ひな飾りを見に訪ね来てお菓子をもらい、地域の人と語らう子どもたち

ひな飾りを見に訪ね来てお菓子をもらい、地域の人と語らう子どもたち

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 飛騨・益田地域各所で3月3日、桃の節句に子どもたちが「ひな飾り」のある近所の家々を訪ね回りお菓子もらう「がんどうち」と呼ばれる行事が行なわれた。

大きな袋を持って通りを走り回る子どもたち(関連画像)

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 「ひーなさーま見―しとーくれ!」――この日、下呂市萩原町の商店街や民家の至る所で、子どもたちの声がこだました。「がんどうち」と呼ばれるこの風習は、愛知県三河地方や岐阜県山間部などに今も伝わるもので、飛騨地方では益田(ました)地域にのみ今なお残る。

 ハロウィーンの「Trick or Treat」と通ずるものがある「がんどうち」は、漢字で「強盗打ち」と表記し「盗みとりごめん」の意味。「ひな飾りのある家を子どもたちが訪ね、お菓子やごちそうを自由にさらっていける」というこの風習は、かつては男児のみが家を回り、女児は家でそれを出迎えるというものだったが、時代とともに男女関係なく回るようになったという。

 この日、民家の玄関先や商店の店先には、「ひな飾り」と共に50人~最大300人分ほどのお菓子やジュースが用意されたほか、酒造店では甘酒、玩具店ではペーパーヨーヨー、和菓子店では三色団子などが子どもたちに振る舞われた。通りには大きな袋を持って家々を走り回る子どもたちがあふれ、行く先々で「ありがとう」とお礼を言って忙しくお菓子を集める元気な姿が見られた。

 子どもたちを出迎えていた商店街の女性は「一応『良いおひなさまですね』などと、お世辞を言ってゆく子もいてほほ笑ましい。大量のお菓子を用意するのは大変だが、年1回の事だし、自分も自分の子どもも、これまで楽しみにしてお世話になってきた事。地元では「がんどうち」を通じて、子どもが地域の人々を覚え、地域の人々が子どもの顔を覚え、礼儀作法を教える機会として大切にしている。今後もずっとこの風習を守り伝えていきたい」と話していた。

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