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飛騨古川で「里山オフィス事業」-首都圏企業社員が古民家モニター利用

里山オフィスとして活用する築150年の古民家

里山オフィスとして活用する築150年の古民家

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 飛騨古川の数河地区で7月14日、空き家になった伝統古民家をオフィスとして貸し出す「ひだ里山オフィス事業」が始まった。現在、モニターとして首都圏の企業から新入社員4人が宿泊しながらオフィス利用している。運営は柳組(飛騨市古川町、TEL 0577-73-2800)。

里山オフィスの外観

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 同事業は、里山の過疎化に伴い増加している「空き古民家」の有効活用を考える「ひだ山村民家活性化プロジェクト」の一環で今回が初の試み。

 同事業の建築プロジェクトリーダーを務める砂田芳道さんは「観光マップには載らない飛騨の里山地域には素晴らしい古民家がいくつもある。そのほとんどは一度解体してしまえば二度と同じ物を建てることができない。今後も増え続けるであろう空き古民家をなんとか生き残らせる道はないだろうかと考えていた」と話す。

 「同プロジェクト内で、これから暑くなる夏場の時期、主に首都圏の企業に向け涼しい田舎の古民家をオフィスとしてレンタル活用してもらってはという話になった」と砂田さん。

 現在、東京の企業から今年4月入社の新入社員21人のうち4人がモニターとして古民家に宿泊・生活しながらオフィスとして利用している。新入社員らは今後、同プロジェクトメンバーと共に飛騨の人、街並み、文化、自然を肌で感じながら地域活性化に向けたビジネスモデルを考えるという。滞在は7月24日まで。

 新入社員の一人、小林尚さんは「最初のカルチャーショックは、『飛騨の古民家』と聞いて当初古い町並みにある商家の長屋のようなものを想像していたが実際は全然違ったこと。今住んでいるのはいわゆる『里山の民家』で一口に古民家と言えどいろいろ種類があると知った」と話す。「あとはとにかく何でもでかいこと。家屋はもちろん苦手な虫の大きさまで(笑)」。

 当初は不便さを感じることが多かったと話す小林さん。「畳敷きのため、基本の仕事スタイルが正座かあぐら状態で足が痛くなったりした。そんな時、気分転換に近所の散歩などをしながらふと、絶対に都会では味わえない場所に来ていると思った。最近では無理やり東京でしているように仕事をやらなくてもよいのではと考えるようになった」と話す。

 「例えばとてつもなく大きな紙を広げ、みんなで腹ばいになって囲みながら何か考えるとか、いろいろな方法を考えている。苦手な虫の多さも、聞けばいい虫と悪い虫がいて見分けが付いてくるとそこから何か新しいアイデアが浮かんでくるかもしれない」と笑顔を見せる。

 砂田さんは「里山の古民家はもともと、家屋のほとんどが農業の作業スペースとして使えるよう考えて設計してある。大きな古民家ならではの使い方を見つけて有効活用してもらえれば」と話す。

 モニター企業は今年11月末まで募集する予定。問い合わせは柳組(TEL 0577-73-2800)まで。

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