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「飛騨生きびな祭」に2500人-「氷菓」声優・佐藤聡美さんも応援に駆け付け

佐藤聡美さんとアニメ制作プロデューサー伊藤敦さんによるトークショーの様子

佐藤聡美さんとアニメ制作プロデューサー伊藤敦さんによるトークショーの様子

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 飛騨一宮水無神社(高山市一之宮町)で4月3日、伝統行事の「飛騨生きびな祭」が開催された。同祭が舞台となったアニメ「氷菓」の記念イベントも行われ、声優の佐藤聡美さんが応援に駆け付け会場を盛り上げた。

生きびな行列の様子

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 旧暦の「桃の節句」に五穀豊穣(ほうじょう)と女性の幸せを願い、地元の未婚女性9人が「ひな人形」に扮(ふん)して町を練り歩く同祭は今年で62回目。当日は、あいにくの雨模様のため昨年同様、本殿回廊での巡行となった。きらびやかな平安装束に身を包んだ生きびなが登場すると、この日を心待ちにして集まった大勢の観客たちが、固唾(かたず)をのんで幻想的な光景に見入っていた。

 同祭では今回初の合同企画として、アニメ「氷菓」の記念イベントも開かれた。神社境内の特設会場には、氷菓でヒロイン「千反田える」役の声優を務めた佐藤聡美さんも応援に駆け付けた。「おにぎり実演会」や「握手会」、同アニメ制作プロデューサーとの「トークショー」では制作裏話も多数飛び出し、会場を盛り上げた。このほか、地元特産品や記念グッズの販売ブースも軒を連ね、大勢の買い物客でにぎわった。

 イベントを終え、佐藤さんは「おにぎりをきれいな三角形に握るため、イメージトレーニングもしてきたんですが…。ちょっと丸くなっちゃったのもあって恥ずかしかった(笑)。生きびな様は(声を担当した)えるちゃんの気持ちになりながら、ずっと夢中になって見とれていた。後ろ姿が印象的でした。今回こうして本物の氷菓の世界にいられるのもファンの方々のおかげ。とても良い経験をさせていただいたことに感謝。いつか晴れた日に外での行列も見てみたいですね」と笑顔を見せた。

 同祭関係者によると、来場者数は2500人。「『平日で雨』という最悪の条件下にもかかわらず、遠方からも大勢の方々にお集まりいただき本当に感謝。例年だと同じ条件で平均400~500人。晴れの日でも800人ぐらい。とにかく近年例を見ない記録的な人出だった」と目を丸くしていた.

 日本赤十字社岐阜県赤十字血液センターでも今回、献血バスを会場内に配備して「氷菓×献血」キャンペーンを実施。祭り当日は、開始から終了まで人波が途切れることなく、一時は30~40分待ちになるほど。結果、祭り前日からの一日半で延べ124人が約4万9000ミリリットルを献血した。

 同センタースタッフは「今回の献血協力者数は、岐阜県の平日平均をはるかに超える驚異的な数字。しかも協力者のほとんどが氷菓ファンの方々。毎年血液が不足するこの時期、本当にありがたかった。ご協力いただいた皆さまにあらためてお礼を言いたい」と話す。

 この日、埼玉県から訪れたという岸正博さんは「氷菓は『奇跡』という印象がすごく強い作品。この1年は、氷菓があって奇跡的なことがいろいろ起きて楽しい1年だった。今回は作品のクオリティーもさることながら、地元の盛り上げ方が来訪のモチベーションにつながった。サブカルチャーを通じたコンテンツツーリズムの気付きは、これからの地域観光にとって重要なテーマの一つだと思うが、来訪者にとって飛騨はモチベーションを上げられるポイントがたくさんある」と話す。

 「昨日は高山の町で氷菓の舞台探訪(聖地巡礼)中、どこからともなくカンカンと聞こえてくる鐘の音に誘われて近くの神社に行き着いたら、地元の子どもたちが春祭りの練習をしていた。その姿に感動したし、アニメには登場しないが氷菓の世界観をリアルに感じた。偶然とは言え、そういう瞬間に立ち会えるのも舞台地探訪の醍醐味(だいごみ)」と岸さん。

 「もちろん『生きびな祭』でも、その空気感を再確認できた。最終話でヒロインが『またいずれここに戻ってくる』と話す。地元にとっては面倒に感じるかもしれない伝統行事も、それがフィクションの世界だけでなく実際に『ある』ことに素直にうらやましさを感じるし、ひいては氷菓の魅力につながっている。今は地元に宝物を持って帰るような気分」とも。

 高山「氷菓」応援委員会会長の小鳥英介さんは「多くの人の助けを借りながら記念イベントが無事終わり、とにかく今は感無量の一言。何よりファンの方々が笑顔で楽しかったといって帰ってくださったことに尽きる。来年の氷菓イベント開催に関しては、次回またいいお話がうまくかみ合えば考えたい」と話す。

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