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下呂のコメ農家・曽我康弘さん生産の「銀の朏」、「お米番付」で全国8選に

「お米番付」で全国上位8種に入選した下呂市野尻のコメ農家・曽我康弘さん(左)と農場メンバー

「お米番付」で全国上位8種に入選した下呂市野尻のコメ農家・曽我康弘さん(左)と農場メンバー

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 東京・銀座で11月19日、日本のコメ生産者を対象にした「お米番付2014」最終審査が行われ、下呂市野尻のコメ農家・曽我康弘さんの生産した「銀の朏(みかづき)」(品種名・いのちの壱)が上位8選に輝いた。主催は「日本のお米向上委員会」(京都市伏見区)。

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 コメの質=「甘さ」とし、特定の産地や銘柄にとらわれず、食味計を使った審査では判定しづらいコメの甘みを実食で審査して「おいしいコメ」を評価する「お米番付」は今年で2回目。今回は全国30都道府県から112点がエントリーし、第一次審査で16点を選出。最終審査で上位入選米を決め全8種の銘柄を公表した。

 入選銘柄は次の通り(以下、北-南順)。「いのちの壱」(岩手県北上市、照井勝也さん)、「ひとめぼれ」(山形県東置賜郡高畠町、柳保男さん)、「コシヒカリ」(群馬県利根郡みなかみ町、本多義光さん)、「コシヒカリ」(長野県飯山市、小嶋秀典さん)、「いのちの壱」(岐阜県下呂市、曽我康弘さん)、「あきさかり」(広島県庄原市、松田一馬さん)、「森のくまさん」(熊本県上益城郡御船町、山地整さん)、「ひのひかり」(宮崎県えびの市、上田満房さん)。

 審査員は、一次審査=日本米穀小売商業組合連合会(東京都中央区日本橋)認定「お米マイスター」23人。最終審査=ミシュラン星付き料理人、フードコラム二スト、レストランジャーナリスト、五ツ星お米マイスターなど5人。共通の炊飯ルールに則って炊かれた白米を、香り、ツヤ、白さ、甘さ、食感、粘り、のどごしの7項目で審査した。

 日本のお米向上委員会委員長の橋本隆志さんは「お米番付を通じて選んだ『甘いお米』は多くの人に食べてもらえるよう流通も整える。コメの価値観を変え、日本の農業を活性化させることが最大のゴール」と話す。

 今回、初出品で東海地方唯一の入選を射止めた曽我康弘さんは2000年9月、下呂市内で偶然発見されたコシヒカリの突然変異種を基に品種改良したブランド米「龍の瞳」(品種名・いのちの壱)の初期開発メンバー。

 飛騨の中山間地域で栽培することにこだわる曽我さんは、「有機JAS 」規格の肥料しか使わないなど独自に定めた栽培基準に則って「いのちの壱」をベースに品種改良を加え、独自のブランド米「銀の朏(みかづき)」を開発。同じ志を持つ地元周辺のコメ農家と合同会社「まん丸屋」(下呂市野尻)を立ち上げ、昨年12月から正式販売を始め口コミでファンを増やしている。

 「コメの粒が通常米の1.5倍と大きいので味が濃いのが、いのちの壱の最大の特長だが、これは寒暖の差が大きい標高400~700メートルの高地でゆっくり育てるため起きる現象。一方、高地障害に耐性が低く病気に弱いという特性を合わせ持つため栽培に手間がかかり、今はごく少量しか生産できない」と曽我さん。

 耐病性の新種開発と「銀の朏」のさらなる改良に余念がない曽我さんは今年、人工交配のため54種類のコメを実験栽培した。「来年は100種類くらいで試す」と意気込む。「ナチュラルで病気に強い品種ができれば、そのぶん減農薬につながり消費者へさらにおいしいお米が提供できる」と力を込める。

 「自然相手に人間が勝つことは絶対にできないが、工夫や努力次第で難局を乗り切ることはできる」とも。「今年は西日本で戦後最悪と言われる日照不足の年だった。飛騨全域でもコメの不作が相次いだが、うちの田んぼではリカバーする秘策がはまり、いいコメができた。昨年よりおいしいと言ってくれる人もいて、番付入選はその証明になったのでは」と笑顔を見せる。

 曽我さんによると、「銀の朏」は11月6日、岐阜県出身のタレント熊田曜子さんのブログで「お米でお米が食べられほど美味です!(原文ママ)」と紹介されたことも手伝って問い合わせが相次ぎ、すでに本年度分の在庫切れが間近に迫っているという。

 価格は、1キロ=1,100円、2キロ=2,200円、5キロ=5,300円、10キロ=1万100円。ホームページで販売している。

 このほか、「銀シャリの炊き立てご飯」として、同番付の上位入選米8種が京都・祇園と東京・銀座の「米料亭 八代目儀兵衛」で12月5日から期間限定で順次提供される。曽我さんのコメは来年3月6日~3月8日に登場する予定。

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