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「現代の名工」、飛騨から3人-建築大工、木製家具製造工、美容師の技能卓越者

手作業加工用に自分で作った道具という「南京ガンナ」で椅子の脚を削る飛騨産業の板屋さん

手作業加工用に自分で作った道具という「南京ガンナ」で椅子の脚を削る飛騨産業の板屋さん

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 厚生労働省が11月9日、2014年度の「現代の名工」を発表した。岐阜県内からは婦人・子供服注文仕立職の中村初代さん(64)(岐阜市長住町、ユキ ナカムラ ロイヤルドレス)など4人が選ばれ、うち3人が飛騨地方から選ばれた。

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 1967(昭和42)年創設の「現代の名工」は、日本の卓越したものづくり技能者を表彰する制度で、技能者の地位と技能水準向上を図ることを目的に、毎年秋に全国から150人ほどが選出される。名工の数は本年度を含めて現在、全国で5737人、岐阜県内で116人となっている。

 飛騨選出の3人は、美容師の三尾弘子さん(74)(下呂市森、ヒロコ美容室)、建築大工の金子平和さん(72)(同市萩原町上呂、金子建築)、木製家具製造工の板屋敏夫さん(65)(高山市、飛?産業)。

 厚労省の被表彰者名簿によると、三尾弘子さんは、特にブローテクニックを最大限活用して、感性に富んだ創造性・ファッション性・芸術性を表現した進歩的なヘアスタイル制作と、日本古来の和装着付けの技能に卓越。新しいヘアスタイルの創作・新技術開発のほか、美容師国家試験の試験委員を務め、受験生に適切な技術指導を行うなど後進の指導にも尽力している。

 金子平和さんは、特殊な伝統建築工法を考案するなどの卓越した技能に加えて、古民家の再生で、雇いほぞ、ほぞ車知(しゃち)引き付け工法を完成させた技能の保持者で、入母屋造り・数寄屋造りなどの伝統建築でこれらの高度な技能を遺憾なく発揮。若年後継者の指導育成にも心血を注ぎ、技能検定やものづくりの気運醸成に多大な貢献を行っている。

 板屋敏夫さんは、木製家具の製造に永年従事して培った知識・技能を有し、特に試作品の製作、治具(じぐ=生産効率を上げるための型枠)の製作技能や、家具の性能判断に優れている。現在では、技能検定受検者や技能五輪選手の指導に尽力。さらに社外の人材育成や首席技能検定委員としても幅広く地域産業に貢献している。

 板屋さんは16歳で飛騨産業に入社後、技術部門一筋。定年後も嘱託職員として同社で後進の教育や技術指導に当たり今年で勤続50年目を迎える。2013年には家具製作部門としては岐阜県内唯一の「ものづくりマイスター」に認定されている。

 「今回、まさか企業に属する私が表彰を受けるとは夢にも思っておらず驚いた。名前に恥じないよう責任を感じながらこれからも仕事を続けていきたい。木工家具作りの世界に飛び込んでから一貫して心に決めているポリシーは、安心して使ってもらえる家具作り。それに、作り手は日々、加工技術だけでなくいろいろな知識を吸収し仕事に生かしていくことが重要ということも伝えていきたい.」と話す。

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