高山の市街地中心部で6月21日、謎のカッパ男が飛騨高山のゆるキャラ「お猿のくぅ」に追いかけ回される光景が繰り広げられ通行人の注目を集めた。
朝から雨が降り続いていたこの日、市内の観光名所「古い町並み」ではけたたましく下駄を鳴らす音が路地に響き渡り、ずぶ濡れになったカッパとサルが目の前を駆け抜けていった。突如降って湧いたシュールな構図に思わず足を止める通行人らは、驚きの表情を浮かべつつも笑顔で見送っていた。
ほどなくして近くの道端で一人、水車で動くからくり人形を不思議そうに見入っているカッパ男を発見。いで立ちは、腰ミノに尺八を差した魚籠(びく)、下駄履き、手にキュウリ、頭上にはなぜか「明太子の食品サンプル」を載せている。
男の名は自称「吉田川の吉田さん」。岐阜県郡上市八幡町(通称・郡上八幡=ぐじょうはちまん)の「非公式」ゆるキャラで、同町を流れる一級河川「吉田川」に住む主(ぬし)だという。休暇を利用して高山観光を満喫していたところ、何かのはずみでサルに追いかけられるはめとなり、全力で巻いている最中だと話す。
吉田さんは郡上八幡のPRを示す証として、頭の上の「食品サンプル」は当地を代表する地場産業、足元の下駄は伝統芸能「郡上踊り」の際に履く物だと説明。カメラを向けると踊りの振り付けポーズを誇らしげに決めた。
一斉に携帯電話やデジカメをかざす人々に取り囲まれた吉田さんは、しばらくの間記念撮影などに快く応じていたが、近くにサルの気配を感じたのか、またもや足早にその場から走り去りそのまま姿を消した。
当日は、市内にある名所旧跡や橋の下、近隣の商店街などでも同様の目撃情報があった。