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映画「ポプラの秋」、高山市内でロケ-中村玉緒さん、本田望結さんら出演

写真左から、大森研一監督、本田望結さん、中村玉緒さん(高山市内ロケ現場で)

写真左から、大森研一監督、本田望結さん、中村玉緒さん(高山市内ロケ現場で)

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 高山の古い町並みや江名子川沿いなど市内各所で現在、映画「ポプラの秋」の撮影が行われ地元民の話題を集めている。

日下部プロデューサーと大森監督

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 オール高山ロケで制作が進められている同映画は、湯本香樹実(ゆもとかずみ)さんが1997年に新潮社から発刊した小説「ポプラの秋」が原作。監督・脚本は現在全国ロードショー中の映画「瀬戸内海賊物語」を手掛けた大森研一さん。企画・統括は高山市出身で東京在住の制作プロデューサー日下部哲さん。

 「おばあさん」の訃報を知らせる一本の電話から始まる物語。おばあさんは18年前、幼くして父親を亡くした少女・千秋が母と共に放浪の末たどり着いたアパート「ポプラ荘」の大家。幼い千秋は「あの世に行く時、あの世にいる人に手紙を届けるのが自分の役目」と話すおばあさんとの絆をきっかけに、父の死を乗り越えていく。おばあさんの葬式の日、大人になった千秋は数百人の参列者と数百通の手紙に囲まれた亡骸を目の当たりにし、昔聞いた言葉の意味を知る…。

 キャストは、子供時代の千秋役に本田望結さん、大人の千秋役に村川絵梨さん、おばあさん役に中村玉緒さん、千秋の母親役に大塚寧々さん、アパートの隣人や町の人々に、藤田朋子さん、宮川一朗太さん、山口いづみさん、内藤剛志さんなど演技派の顔触れが揃う。高山市民もエキストラで出演する。

 中村玉緒さんは「高山に来るのは16年ぶり。空気がおいしく、食べ物もつい食べ過ぎて太ってしまう(笑)。頂いた役柄は実年齢に近いので感情移入できる」。本田望結さんは「毎日暑くて大変」と笑顔で話す。

 同作品で飛騨弁指導を務め、青年団長役としても出演する高山市在住の演劇俳優・中田裕一さんは「そうそうたるメジャー俳優さんたちの中に自分が加わり、全編地元ロケで一緒に映画を作っている…まるで夢のような毎日。家業の酒屋で働きながら、地道に俳優活動を続けてきたかいがあった」と感慨深げにつぶやく。

 日下部さんは「原作を読んで思い描いた風景が、かつて自分が過ごした高山の町にぴったりと符合した。実際来てみれば、セットを作る必要もない理想通りの現場に偶然出合うことができた。本作品を通じ、日本にもこんなに美しい場所があるのかと知ってもらえれば。『人間とは』という普遍的なテーマ、ストーリーは全世界で共有できるもの。国内だけでなく、海外でも評価される作品に仕上げたい。故郷に少しは貢献できるかな」と笑顔を見せる。

 「監督選びでも奇跡的な出会いがあった」とも。「原作にほれ込んでいたので、忠実に作品を深く理解し、変なアレンジを加えたりしないで登場人物の心情を映像で勝負してくれる監督に脚本をお願いしたかった。そんな時に大森監督を知り『この人なら』と声を掛けたところ、本人から『実はこの小説の映画が撮りたくて監督になったんです』と、ボロボロになった本を見せられた。渋谷の喫茶店で作品について延々、男2人で涙ながらに熱く語り合った。はたから見たら異様な光景だっただろう(笑)」と振り返る。

 大森監督は「学生時代に出合ってから今まで幾度となく読み返した小説。内容は一字一句、全て暗記しているほど。『赤い糸』ってあるのかもしれない(笑)。作品では、失って初めてその価値に気付く人間同士のつながりと今ある人への感謝の気持ちを丁寧に描きたい」と話す。

 高山ロケは6月7日まで続く。映画は来春公開予定。

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