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高山初のコワーキングスペース、セルフビルド計画始動-来春の運用目指す

来年4月のコワーキングスペース運用開始に向けて動き出した住さん(右)と浅野さん(左)

来年4月のコワーキングスペース運用開始に向けて動き出した住さん(右)と浅野さん(左)

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 高山市本町三丁目商店街の裏路地にある空きスペースで10月18日、故郷にUターンした30代の地元男性2人が来年4月のコワーキングスペースオープンに向け動き出す。同日、予定地で説明会を兼ねたキックオフイベントを開く。

現在の空きスペース内部の様子

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 同スペースはもともと、1907(明治40)年創業の高山印刷(高山市本町3)の作業場だった場所。市内中心部にある飛騨高山のランドマーク「鍛冶橋(かじばし)」の脇から宮川西岸に沿って続く細路地「かじばしこみち」の入り口近くにある。

 キッチンやトイレを備え、カフェやバーなどがテナントに入り営業していた時期もあったが、3年ほど前から空きスペースとなっていた。フロア面積は約75平方メートル。

 同計画発起人の一人、住尚三さんは2年前、家業の印刷会社を継ぐべく東京から帰郷した。「この街には何かをつくりだす気質を持つ人がたくさんいる。そんな人たちが自由に集まってアイデアや能力を共有できる場を創りたいと常々考えていた」と話す。

 浅野翼さんは建築設計士で、住さんと同じ高校の同級生。今年5月に帰郷し実家で設計事務所を開いている。浅野さんは独立開業を前に1年間、幅広い視野を養おうとインドと東北被災地を巡る一人旅を敢行した。

 浅野さんは旅の道中、気仙沼の被災エリアで「ともしびプロジェクト」代表の杉浦恵一さんと出会い、同団体の活動拠点となるコワーキングスペースの設計を担当。そのまま現地に住み込みながら、杉浦さんやボランティアの学生などと施工に当たり今年7月、「co-ba kesennuma(コーバ・ケセンヌマ)」を完成させた。

 浅野さんは「設計の方はある程度知識と経験があったが、施工に関しては全くのど素人(笑)。毎日素人集団がみんなで寄ってたかってアイデアを出し合い、悪戦苦闘と試行錯誤の末、思い描いていた絵が現実のものになった時は本当に感動した」と当時を振り返る。「ゼロから自分たちで作り上げたことで、空間の使い方や生かし方を多く学んだ。だから今回もみんなで作る『セルフビルド』にこだわりたい」とも。

 今回、東京を拠点に気仙沼・小倉など全国7カ所でコワーキングスペース「co-ba(コーバ)」をネットワーク展開する「ツクルバ」(東京都渋谷区)もプロジェクトに参画する。今年9月には同グループ代表の中村真広さんとメンバーが飛騨高山を訪れ、住さんと浅野さんが地元のディープスポットなどを案内したという。

 10月18日は、高山の同スペースで「co-ba hida takayama(コーバ・ヒダカタヤマ)」プロジェクトを立ち上げる。「思い入れの深い気仙沼をはじめ、全国規模のコワーキングスペースネットワークを通じ、横のつながりを活性化することで、新しい風を地元に吹き込みたい」と2人。

 キックオフイベントは同日19時~。コワーキングスペースを知らない人に向けた事業内容の解説や気仙沼の事例紹介、「co-ba」ネットワークに寄せる期待、フリートーク、質問コーナーなどを展開する。

 当日は、同時スタートでクラウドファンディングサイト「FAAVO飛騨・高山」にプロジェクトページを開設し、資材や設備購入のための資金支援も呼び掛ける。募集期間は2カ月で目標金額80万円を予定している。

 「『co-ba hida takayama』は、他地域の人と地元の人の交流の中で、これからの街のあり方をみんなで考えるための場所。『新しい飛騨高山』を全国へ発信する拠点にしていきたい。かつての自分たちのように外へ出て行った若者が地元へ帰るための第1ステップを見付ける場所、他地域の人材や文化との交流拠点として運用していきたい」と意気込む。

 同プロジェクトでは現在、施工を一緒に手伝ってくれる人を募集している。経験不問。早ければ今月末から作業に取り掛かり、翌年3月末に施工を完了、同4月にWi-fi機器やインテリア、倉庫に眠っている活版印刷機などを搬入し、完成オープンイベントを開いて運用を始める予定。

 問い合わせは、同事務局(住さん、TEL 090-2689-1278)まで。

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