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高山の神社で本居宣長自筆の掛け軸公開へ-初出四首含む和歌十七首

一般公開される本居宣長の和歌掛け軸

一般公開される本居宣長の和歌掛け軸

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 高山市神田町の神社「飛騨総社」が11月21日、江戸時代の国学者「本居宣長」自筆自詠の和歌の掛け軸を一般公開する。同日、調査の詳細を記した研究報告書も発売される。

本居宣長自筆自詠の和歌

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 掛け軸は昨年9月末、同神社が2年に1度行う収蔵物の「虫干し」を一般公開した際に発見されたもの。箱書きには、「本居宣長翁自詠」「枢密顧問官兼御歌所長 正三位 藤原(高崎)正風 敬識」「海上胤平(うながみたねひら)愛軸」とある。軸の書には、「宣長」の署名で「暮山霞」から始まる和歌十七首が書かれている。。

 1897(明治30)年ごろ献納されてからこれまで、「真贋(しんがん)」が問われることはなかったが、昨年12月、高山市内の歴史研究家の薦めもあり、書や古文書の有識者の見解を得て「本居宣長記念館」(三重県松阪市)に鑑定を依頼した結果、「本居宣長の真筆」と判明した。

 同館長の吉田悦之さんによると、和歌の内容、筆さばきのスピード感、風格、筆跡から明和年間(1764~1771)に書かれた宣長35歳ごろの自筆自詠という。「宣長の書は晩年の物が多いため、この年代のものはとても珍しく貴重。春から年の暮れにかけての和歌が書かれており、これまで見つかった約1万首の中にない初見の和歌も4首見られた」と話す。

 「飛騨総社は、宣長の高弟で飛騨出身の国学者・田中大秀が再興した神社。宣長を生涯の師と仰ぎ、勉強して知ることの面白さや喜びをたくさんの人に教えた田中大秀は私も敬愛する立派な人物。この軸の発見を通じて飛騨の方々があらためて郷土の学者を知り、思いを学ぶきっかけになれば」と吉田さん。

 今回の調査結果を踏まえ高山市の清水喬雄さんは、詳しい資料などをまとめた自費出版の研究報告書「知の巨人・本居宣長~不世出の飛騨びと・田中大秀」を執筆した。今月21日から、田近書店本店(高山市本町2、TEL 0577-35-1139)と同三福寺店(TEL 0577-32-1139)で発売する。価格は1,000円。

 掛け軸の一般公開は21日のみ。時間は14時~16時。入場無料。当日は、吉田さんや地元の郷土史研究家らを招き講演や質問会を開く予定。

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