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高山・松之木町で「車田」の田植え-地元有志が手伝い、風習継承へ

車田の全景

車田の全景

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 高山の「車田」(高山市松之木町)で5月13日、地元住民による「田植え」が行われた。

車田の田植えをする地元住民たち

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 風習として残る営農田の「車田」は、日本国内では同地と新潟県佐渡市の2カ所のみ。同地の農耕作業はそれぞれ1960(昭和35)年に高山市文化財、2002(平成14)年に岐阜県重要無形民俗文化財の指定を受けている。全国ではこのほか、「飛騨の里」(岐阜県高山市)や「長谷の車田」(三重県多気町)など、近年誕生した車田も存在するが、その数は少ない。

 当日は、所有者の平野正雄さんをはじめ、同町内会有志で組織する「車田保存協力会」のメンバー合わせて13人が、「すげがさ」に「法被姿」や「かすりもんぺ」といったいでたちで、直径約30メートルの円形の田に「たかやまもち」の稲苗を手植えした。同保存会の島田優作さんが「植えておくれよ 畦(あぜ)にも田にも」と歌うと、「秋にゃ五石の米がなる」と返す、昔ながらの「田植え歌」数曲も披露した。

 86歳になる平野さんは「おかげさまで天候にも恵まれ、無事に田植えが終わりホッとしている。今年も豊作になるとうれしい」と笑顔を見せる。

 平野さんの娘で、この日の田植えを一緒に行った真由美さんは「手伝ってくださる保存会の方々には本当に感謝している。今日は平野家から父と母と私の3人で来たが、(保存会が設立される)8年前までは、子どもから大人まで一族総出の大仕事だった」と話す。「高山に住む30歳の次男が今、父から車田の手ほどきを受けている。わが家の大切な伝統文化を学んで、これから何百年も先の世代へと引き継いでいってほしい」と期待を込める。

 秋に例年200キログラムほど収穫するという車田の「もち米」は、地元にある「大八賀神社」の秋祭りでお供えの鏡餅として稲穂と共に奉納する。

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