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白川郷でカヤ刈りイベント 村内外から120人が参加、1300束刈り取り

慣れない作業に苦戦しながらもカヤ刈りに励む参加者たち

慣れない作業に苦戦しながらもカヤ刈りに励む参加者たち

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 大野郡白川村鳩谷の山林にあるカヤ場で11月10日、合掌造り家屋の屋根材に使うカヤを刈り取るイベント「われらが紡ぐ白川郷かややねプロジェクト~秋の一斉茅刈り~」が行われた。主催は「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」。

白川村の郷土食「すったて汁」を囲むカヤ刈り参加者たち

 白川村と公益財団法人「日本ナショナルトラスト」が協働し2016年から定期開催している同イベントは今年で3回目。

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 同財団では東京を拠点にこれまで、都会部で暮らす若者をメンバーに呼び込み、白川村のカヤ文化の未来を考える「かややね会議」を開催。同会議から生まれた、イベント形式で行うカヤ刈りを通じて同村の伝統文化に興味関心を持ってもらい、地元内外から作業に携わる人材を増やすことで地元産カヤ材の自給率向上につなげようと、毎年一般参加者を募っている。

 当日は村内から40人、村外から80人の計120人が作業に参加。広さ1.4ヘクタールのカヤ場でグループに分かれ、地元のベテラン作業員から草刈り鎌の扱いや結びひもの掛け方など指導を受けながら一緒に汗を流した。昼食時には村民が郷土食の「すったて汁」を用意。午後からの作業に向け腹ごしらえした。10時から始まった作業は16時ごろ終了し、大人の一抱えほどになる大きさのカヤ束約1300束が刈り取られた。

 カヤ刈り後は村民有志が酒宴の席を設けて作業の労をねぎらう「直会(なおらい)」を開き、参加者たちと親睦を深めた。翌日は参加者たちが地元小学生らを交えて白川村の民謡や伝統芸能を体験した。

 関西から今年初めてイベントに参加したという女子大生グループの一人は「生まれは北陸で白川郷には中学の修学旅行で来て以来。当時は『合掌の屋根の勾配がすごい』くらいしか感想がなかったが、実際に今日、屋根材になるカヤを刈ってみてとても固くて丈夫な物だと知り、全て手作業で屋根に掛ける村人の苦労を思った」と話す。

 白川村教育委員会文化財担当者の松本継太さんは「カヤの刈り取り期間は10月終わりから雪が降るまでの1カ月ほどと短い。白川村が1年間で屋根葺きに使うカヤの量は約2万束。村では現状6000~7000束が取れるカヤ場があるが、カヤ刈りは熟練者でも一日60束ほどが限度のため、全て刈り取ろうとすると単純計算で100人工が必要となる。高齢化が進み、カヤ刈り作業にかかる人材の確保は急務。自給を目指しさらなるカヤ場の造成を進めたいが人材も同じように増やしていかなければならない」と話す。

 「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」会長で国重文「和田家」当主の和田正人さんは「カヤ刈りイベントがなければ自給率は下がる一方のため、こうした取り組みは本当に助かる。地元でも内外に声を掛けて作業を手伝いに来てくれる若者が現れるなど、少しずつだがこれまでになかった変化も出始めている。観光を楽しむだけでなく、住民と一緒に村の文化を支え合って守ろうとしてくれる支援者の輪が今後もさらに広がってくれれば」と期待を寄せる。