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マイマイガ、飛騨山中で「ゾンビウイルス」に集団感染-大量死、住宅地でも確認

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マイマイガ、飛騨山中で「ゾンビウイルス」に集団感染-大量死、住宅地でも確認

葉が食べ尽くされ無残な姿になったサクラの木で、なおを一心不乱に葉を食べ続けるマイマイガ幼虫(中央)(白川村鳩谷・嘉念坊で)

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 飛騨山中を中心に現在、別名「ゾンビウイルス」と呼ばれるバキュロウイルス科ウイルスに集団感染した「マイマイガ」の大量死が相次いで目撃されている。

ウイルス感染したマイマイガ幼虫 ※虫嫌いの方、閲覧注意

 マイマイガは、飛騨地方で昨年から爆発的に大発生しているドクガ科に分類されるガの1種。昆虫類などの節足動物にしか感染しないというバキュロウイルス科ウイルスが「ゾンビウイルス」と呼ばれるゆえんは、感染した宿主がウイルス飽和状態になるまでエサを捕食し続けた後、脱力状態となり、果てはウイルスを含んだ体液を周囲にまき散らしながら死に絶えることから。

 高圧電線の鉄塔点検を日常業務として行っている白川村在住の木下則由紀さんは6月中旬ごろから、飛騨市と大野郡白川村の境界上にある天生峠付近の山中で異様な光景を目の当たりにするようになったという。

 「何百匹というマイマイガ幼虫の集団が、木の幹に皆同じかっこうで垂れ下がっていた。これまでの経験上、こんな光景は明らかにおかしいと思い気になって近くで観察してみたら、皆一様に頭を下に向けだらんと伸びきっており、死んだように動かない。よく見ると、『へ』の字形の同じかっこうで干からびて完全に死んでいるヤツもたくさんいた。家に帰りネットで調べた結果、ゾンビウイルスに集団感染したに違いないと確信した」と話す。

 木下さんによると、最初の目撃から日に日にその範囲は広がっており、今では標高1500メートルの山頂付近にまで達しているという。「何兆何億匹いやもっとたくさん、相当な規模に広がっている。ここ最近は、山のふもとの住宅地でも同じ光景を見かけるようになった」と話す。

 飛騨経記者の現地調べでも7月7日現在、白川村内鳩谷や荻町の住宅地で小規模だが同様のケースを確認した。同村在住の年配女性たちの話では「今年は異常なくらい鳥の鳴き声がうるさい。種類としてはムクドリやセキレイが多いのでは」とも。

 飛騨地域に住む動植物の生態に詳しい飛騨生態調査研究室室長の大森清孝さんによると、「ウイルス感染症は核多角体ウイルス病といい、マイマイガにしか感染しないバキュロウイルス科のウイルスが原因。マイマイガの大量死が始まったという証拠に間違いない」という。

 「繰り返されるマイマイガ大発生の終息期にだけ、このウイルス感染が見られる事が知られており、昨年の大発生を受けて今年はウイルス感染があるものと予測し、私も飛騨各地を回って確認調査をしていた所。ここ一週間ほどの間に、高山市内でも丹生川町、清見町、朝日町など数カ所で、ウイルスに冒され弱っている幼虫とすでに死んだ幼虫がいる現場を多数発見した」と大森さん。

 「この感染症で死んだ幼虫は逆V字型で木などにぶら下がるのが特徴」と木下さんの見解にも太鼓判を押す。

 「ウイルスは直射日光で死滅するが、幼虫が潜む樹皮の裏や枝の下部などの直射日光が当たらない場所では、感染力が10年ほど持続するとも言われている。当然、成虫や卵にも感染するので数はこれから減る一方。マイマイガ騒動はひょっとしたら今年で一気に終わる可能性も高い」。

 「白川郷や天生で鳥が騒がしいのは、豊富なエサにより鳥が増えているから。それにムクドリはマイマイガ幼虫の天敵。過去にアメリカで人為的な原因によりマイマイガが大発生した際、終息に向け一番活躍したのはムクドリだったとの報告もある」とも。

 大森さんによると、高山市中心部など市街地では殺虫剤散布によるマイマイガ駆除の話をよく耳にするが、せっかくのムクドリの助けを一切断ることになるという。環境への影響や、放っておけば自然に減るものが逆に減らなくなる恐れも懸念する。

 「人間の力のみで自然と四つ相撲を取って勝とうと思ってはいけない。第一、勝てるわけがないと肝に銘じておいた方がいい。どうしても自然に立ち向かうのなら、自然を味方に付け一緒に協力してやったほうがいい」と指摘する。

 高山市では現在、台所用洗剤を水で割った溶液をプール容器に入れ誘蛾灯の代用として工業用ライトをふちに取り付けた「マイマイガホイホイ」の検証実験を始めている。

 大森さんは「私がマイマイガホイホイを考えるとしたら、強力なライトのみを急流のある河川の真上に仕掛ける。流された蛾は魚が喜んで食べてくれるし、台所用洗剤水の捨て道に頭を悩ませることもない。もしかしたらライトアップで集客効果もあったりして」と笑顔を見せる。

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