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カップ麺容器の巣でツバメ子育て-カラス襲撃から1週間、巣立ち近づく

カップ麺容器の巣で子育てに励む親ツバメとすくすく育つひな

カップ麺容器の巣で子育てに励む親ツバメとすくすく育つひな

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 高山米穀協業組合本社(高山市初田町2)の軒先で現在、ツバメの親子がカップ麺の空き容器の巣に暮らしている。

親ツバメのエサを待つひな

 5~6年前から毎年、同じ場所に巣をかけるようになったというツバメは、現在子育ての真っ最中。カップ麺容器で作った巣のふちに顔をのせたり、身を乗り出してエサをもらったりするひなたちの愛らしい姿は、束の間のアイドルとして同社社員と通行人たちを和ませている。

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 きっかけは、6月20日に起こった「カラスの襲撃」。ツバメの巣を襲ったカラスの被害で5羽いたひなのうち1羽が連れ去られ、巣にはひびが入った。6月24日朝には巣から落下したと見られる1羽のひながヨチヨチ歩いているのを出勤した社員が発見。さっそく保護して見上げると巣が割れていた。

 崩れかかった巣に必死にしがみつく残り3羽のひなたちを社員たちで心配していたところ、間もなく2羽が次々と落下。親ツバメは1羽だけになったひなにせっせとエサを運んでいた。落下した3羽を何とか親に育ててほしいと願う社員たちは知恵を出し合い、段ボールの巣を作って窓に貼るなどしたが失敗。その日の午前中、社内ではツバメのひなを巣に戻す話題で持ちきりとなった。

 同社社員の白川誠さんもこの日、落下したツバメのひな1羽を結局救えなかった2年前の悪夢を思い出しながら思案を巡らせ、昼食のカップ麺を食べていた。そこでふと、手にしている容器を見て「いける」とひらめいたという。「もしもあの時、昼食にカップ麺を選んでいなかったら…」と白川さん。

 「(2年前のヒナの件は)もう2度と経験したくない思い出。急ぎの仕事を終わらせた後、ダッシュで社に戻り巣を作った。野鳥は人間が触ると育たないと言う人もいるが、後悔はしたくなかった。やるだけやってみようと思った」と振り返る。

 新しい巣の設営にあたり、ほかの女子社員からも「中にシュレッダーの紙くずを入れてみては」、男性社員からは「日本野鳥の会に知り合いがいる。カラスよけの方法を聞いてみる」、「何が必要か言ってくれ。準備する」など、社を挙げてカップ麺容器の巣が完成した。

 落下したひな3羽を新しい巣に入れ、崩れた巣の横に取り付けると親ツバメが来てエサを与え始めた。ほどなくして崩れた巣にしがみついていた1羽も自力で新しい巣に移り、ツバメの親子に平和な日常が訪れた。夜には5羽が容器の中で身を寄せて眠っているという。

 現在は、ひな2羽が飛行訓練中。巣と近くの電線を行き交っている。残り2羽はまだ巣の中だが、容器のふちに足を掛けたりするしぐさが見られるため、巣立ちの日は近いという。

 「ヒナの表情を見ていると和む。このまま何事もなく健やかに育ってほしい。ツバメを見る目が熱い白川さん、巣立ちの日には多分泣くと思う(笑)」と女子社員。白川さんは「巣の見た目は悪いがツバメには気に入ってもらえたようでホッとしている。本当に良かった。巣立ちは少し寂しいがそれ以上にうれしい。これからも温かく見守り、ぜひこの目で全羽が旅立つ瞬間を見届けたい」と笑顔を見せる。