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高山の左官職人が石巻市でモニュメント制作-鎮魂と復興願う巨大キャンバス

実物大サンプルを制作する挟土秀平さん

実物大サンプルを制作する挟土秀平さん

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 高山の左官職人・挟土秀平さんが11月19日、東日本大震災被災地の鎮魂と復興を願うモニュメント制作のため宮城県石巻市へと向かった。

実物大サンプル制作の様子

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 宮城県石巻市雄勝(おがつ)町荒浜の海岸に、高さ4メートル・長さ40メートルのキャンバスに見立てた巨大な土壁モニュメントを設置する「雄勝希望のキャンバスプロジェクト」。制作指揮をとる高山市の建設会社「職人社秀平組」(漆垣内町)社長で左官職人の挟土秀平さんは「ものづくりとは、自然と交信し合うこと。自然と折り合っていくのが『左官』の本質」と話す。

 「震災以降のニュースで、今後の自然災害対策のため海岸線のほとんどを背の高いコンクリート堤防で固めると聞いたのがきっかけ。自分の身に置きかえた時、生まれ育った故郷に戻る気力をさらに失いかねないと感じた。自然の恵みと災いは表裏一体。自然の脅威を日常風景から切り離し遠ざけるのでなく、人と自然が再び強く向き合って生きていく意識も必要だと思った」と挟土さん。

 今年8月初旬から、飛騨の有志らと仕事の合間を縫っては震源地に最も近い陸地である雄勝町に何度も足を運んだ。「鎮魂の表現として、海に向けたとてつもなく大きな白壁のキャンバスを被災地の人々と作りたい」「押し付けの企画は絶対に嫌だ」と現地住民らに提案。その結果、賛同者が集まり雄勝町の浜辺を舞台にした同プロジェクトが立ち上がった。

 壁の材料となる木や土は、どうしても手に入らないもの以外は全て現地調達。基礎組みの木材は、塩害で立ち枯れして行き場を失ったスギや震災がれきを使う。「その土地にもともとあった材料で作り、役目が終わればまたその土地の自然に帰る。今だからこそ、やるべきこと」と挟土さん。10月には、本番に向けて高山市郊外で幅約13メートルの実物大サンプルを作り、工程を再確認した。

 現在、荒浜の現場では挟土さんをはじめ、飛騨と雄勝町のスタッフ約20人が公民館で寝泊まりしながら突貫でモニュメントを制作している。最終仕上げには地元住民らが集まり、陸から海に向けてのメッセージや絵を書き込むという。12月2日には現地で完成披露イベントを予定する。

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