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飛騨古川で「三寺まいり」の巨大和ろうそく完成-2メートルの雪像ろうそく作りも

完成した巨大な和ろうそくを披露する八代目・三嶋大助さん。写真手前は通常サイズの大と小

完成した巨大な和ろうそくを披露する八代目・三嶋大助さん。写真手前は通常サイズの大と小

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 飛騨市古川町で1月15日、江戸中期から続く伝統行事「三寺まいり」が行われる。現在、町内各地では行事に合わせた準備が佳境を迎えている。

雪像ろうそく作りの様子

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 300年以上の歴史を持つ同行事は、浄土真宗の開祖・親鸞聖人の遺徳をしのび、同町内にある円光寺・真宗寺・本光寺の3カ寺を巡拝するもの。養蚕業が盛んだった時代には、正月休みで帰省した女工たちが恋愛成就を願う姿でにぎわったという。「嫁を見立ての三寺まいり」の歌が今も残る。

 200年以上、手作り和ろうそくの製造販売を手掛ける「三嶋和ろうそく店」(飛騨市古川町)では、会場の寺院など4カ寺に奉納する恒例の「巨大和ろうそく」が完成した。「三貫(かん)五百匁(もんめ)」と呼ばれる同ろうそくの大きさは、高さ約70センチ、直径25センチ、重さ12キロ。

 材料も製法も普通の和ろうそくと全く同じ。和紙、イグサ、真綿、ハゼの実から採取した「木ろう」を使い、毎年11月から「芯巻き」作業を始める。「ろう」を幾層も塗り固める作業では、「半生」状態を常にキープし続けなければならないため、朝4時30分から休みなしで約19時間、丸一日かけて2本ずつを一気に仕上げたという。

 養蚕業社が工女募集の企業PRのため名前を入れて大きさを競い合ったのが始まりという「巨大和ろうそく」は、時代とともに一時期途絶えたこともあったが、昭和40年代に地元奉賛会の呼び掛けにより復活。以来毎年、行事に欠かせない呼び物として参拝者を出迎えている。当日夕方に火がともされ、使い残ったろうそくは溶かして再利用される。

 七代目店主の三嶋順二さんは「この大きさでも十分日本記録サイズだと思うが、先代の話では最盛期は『五貫(約20キロ)』というとんでもない大きさの物も作っていたらしい」と目を細める。

 昨年名古屋から帰郷し、実家の店で現在「和ろうそく職人」の修業中という八代目・三嶋大助さんは「小さいころから見ていたので簡単だと思いきや全然(笑)。一番基本の『ろう練り』ですら力の加減がつかめずすぐに疲れてしまう。三貫五百匁(もんめ)なんて今は夢のまた夢。でも底が深くて飽きない仕事なので楽しい。観光客の話し相手をしながら手を休めず、長時間座ったままろうそくを作り続ける七代目の神業にいつか追いつきたい」と父の背中を見つめる。

 このほかJR古川駅裏の若宮駐車場でも1月10日から、地元建設業者による「雪像ろうそく」作りが始まった。今年は、高さ2メートル 39本と1メートル 20本を製作する。

 和ろうそくの形を模した木型に塩と水を混ぜた雪を入れて押し固め、そのまま屋外で自然凍結させる。完成した雪像ろうそくは、交通安全を祈念して飛騨警察署で贈呈式を行った後、同駅前など町内各所に飾られる予定。行事当日は、芯に火を入れた雪像ろうそくが古い町並み通りにズラリと立ち並び風情を醸し出す。

 15日は、同町中心部の「まつり広場」で11時~「門前市」、16時~「雪像ろうそく点灯式」、15時~20時は本部案内所で「和装レンタルコーナー」を開設する。利用料金は1人2,000円(肌じゅばんや足袋を含む和装一式と着付けサービス含む)。予約優先。

 問い合わせは飛騨市観光協会(飛騨市古川町、TEL 0577-74-1192)まで。詳細はホームページでも確認できる。

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