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高山のうどん店「新井製麺所」、閉店へ-59年の歴史に幕

地元客でにぎわう「新井製麺所」店内

地元客でにぎわう「新井製麺所」店内

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 高山の「新井製麺所」(高山市天満町2)が1月31日に閉店し、59年間の歴史に幕を閉じる。

メニューの一例

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 1955(昭和30)年創業の同店は、飲食店や家庭用のうどんや和そば、中華麺を製造する一方、当時まだ珍しかったイートインスペースを店頭で展開。その日出来たての白玉うどんなどを濃い目のつゆに浮かべて安価で提供するスタイルは、瞬く間に地元民の評判を呼んだ。

 開業当初は席数4席ほどだったという店内は、客の増加に合わせて徐々に拡張。1990(平成2)年には50席を置く現在の建物にリニューアルした。4年前には縁者が独立し新店「新井こう平製麺所」(高山市岡本町)をオープン。地元では微妙に味の違う両店を共に「新井のうどん」と称し、「昔の方」「新しい方」や「元祖」「こう平うどん」など親しみを込めて呼び分けてきた。

 「昔の方」には現在、もうすぐ味わえなくなる元祖の味を舌に刻もうと、閉店のうわさを聞いた客らが連日駆け付けにぎわいを見せている。

 常連客の一人は「初めて父親に連れて来てもらってからはや40年。たぶん地元民にしか分からない横綱級ソウルフードで、飛騨の元祖ファストフード。これまで日常生活の一部だった店がなくなるのはたまらなく寂しいが、今は長い間お疲れさまでしたと感謝の気持ちでいっぱい」と話す。

 閉店の理由について、店主の新井絹代さんは「これまでただひたすら必死に働いて働いて、働き続けてきた。体の調子も落ちてきたと実感し始めた昨年の暮れ、長年連れ添った夫を亡くし急に心細くなった。私も気付けばもう80歳。従業員やお客さまにご迷惑が掛かる前に、ここらが潮時と腹をくくった」と明かす。「店を閉めたら、これまでなかなか機会がなかった旅行をゆっくり楽しみたい」と笑顔も。

 メニューは「うどん」「きしめん」「和そば」共通で、「かけ」「湯付き(釜あげ)」共に半玉=190円~。2玉盛り~任意の組み合わせ(通称・まじり)=390円~。トッピングは「天ぷら」「卵(ゆで・生)」=各50円。テークアウトにも対応する(つゆ希望の場合は要ペットボトル持参)。

 営業時間は6時30分~14時。日曜定休。

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