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飛騨の酒造場で「酒蔵見学ツアー」-シンガポールの日本酒愛好家らが企画

発酵タンクをのぞき込み醸造中の吟醸酒の香りを確認する参加者たち

発酵タンクをのぞき込み醸造中の吟醸酒の香りを確認する参加者たち

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 飛騨古川の渡辺酒造店(飛騨市古川町)で2月14日、シンガポールの日本酒愛好家らが企画した「酒蔵見学ツアー」が初開催された。

地元食材を前に試飲を楽しむツアー参加者

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 同ツアーは、業務用酒類販売を手掛ける「折原」(東京都豊島区)のシンガポール店(ロバートソンウォーク)と同店に通う日本酒好きの常連客らが企画したもの。

 同店スタッフの佐藤マリアさんは「シンガポールでは今、日本酒がひそかなブーム。そこで昨年、新たな日本酒を求める当店の常連客数人と一緒に秋田県の蔵元を巡る2泊3日の酒蔵ツアーを実施した。帰国後大きな反響があり、他のお客さまから『今年も企画してほしい』との要望が続出した」と話す。

 今回のツアーにはシンガポールから17人が参加。同ツアーのリピーターで常連客のエドウィンさんは「目的地は佐藤さんと常連客で決めた。岐阜県を選んだ理由は、飛騨が日本文化の強く残る土地だと感じたから」と話す。

 今月11日に来日した一行は「折原」本店社員らと共に、岐阜県美濃地方にある日本酒蔵元「三千盛(みちざかり)」(多治見市)や「林本店」(各務原市)の酒蔵を見学し、奥飛騨温泉郷経由で飛騨古川を訪れた。

 この日は、地元で海外旅行客向けツーリングの企画・運営を手掛ける「ちゅら地球」(飛騨市古川町)スタッフが英語で同時通訳しながら同町内を案内した。酒蔵では蔵人(くらびと)が酒造場の歴史や日本酒ができるまでの工程を説明し、参加者らは醸造中の発酵タンクを上からのぞいて香りを確かめるなど実際の酒造りの現場を見学。最後は酒に合う地元食材を囲んでの試飲会を楽しんだ。

 エドウィンさんは「土地に合った食材もお酒もおいしいし、町並みや冬の雪景色も美しい。飛騨はとてもいい所。日本には、まだまだ世界に知られていない素晴らしい場所があることを知って勉強になった。広葉樹がたくさんあるので紅葉がきれいだと思う。今度は秋に訪れてみたい」と笑顔を見せた。

 佐藤さんは「シンガポールではこれまで、日本酒は高級なワインの一種という感覚で、おつまみは日本から取り寄せたタタミイワシやエイヒレが一番人気だった。最近では日本酒の味に合わせた地元料理とのマッチングを考えたり、男性は辛口の清酒を好み、女性は甘口の吟醸酒を好むなど、日本酒に対する嗜好(しこう)や知識も明確になってきた」と話す。

 一行を見送った渡辺酒造の渡辺久憲専務は「初の試みだったが喜んでいただけたようでホッとした。今後も同様の機会を多く増やして経験を蓄積したい。海外旅行者に向けた『酒蔵ツーリズム』の提案など、酒造りと同時進行で新たな観光ソフトも打ち出していけたら」と意欲を見せる。

 同ツアーはこの後、高山市内に滞在し原田酒造場(高山市上二之町)などを見学して帰国の途につく。

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