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飛騨神岡のキムチ専門店に「ホタルイカキムチ」-店主自ら捕獲、ランチ開始も

季節限定商品の「ホタルイカキムチ」(50グラム=800円)

季節限定商品の「ホタルイカキムチ」(50グラム=800円)

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 飛騨神岡・東町通り商店街にあるキムチ専門店「希夢千家(きむちや)けいちゃん」(飛騨市神岡町)で3月18日、「ホタルイカキムチ」の販売が始まった。

「いつ買うか?今でしょ!」

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 季節限定商品の同商品は、鮮度にこだわる同店店主の坂本佳祐さんが自ら捕獲したホタルイカを生食用に数日間冷結殺菌処理した後、本場仕込みの自家製キムチだれに漬け込み仕上げたもの。価格は50グラム=800円(少量販売のため店頭になくなり次第終了)。

 富山湾で3月1日から漁解禁となり今が旬の「ホタルイカ」は、日本海に近い飛騨の食卓に春の訪れを告げるなじみの海鮮食材。普段は水深200~700メートルの深海に生息するが、毎年春から夏の産卵期に水面近くまで浮上する。富山湾沿岸では、新月の夜に大量のホタルイカが浜辺や防波堤に打ち寄せられて青白く輝く「身投げ」と呼ばれる現象が見られる。

 年に数回といわれる「身投げ」現象の条件が整った日には、地元民や近隣から訪れた釣り人が海岸沿いに所狭しと並び、タモ網でホタルイカをすくう姿でにぎわう。春の風物詩でもあるこの光景は「身投げすくい」といわれ、富山県漁連が認める大きさの網での捕獲なら密漁にはあたらない。

 「当商品開発のきっかけは、富山の知人から提案されて」と坂本さん。「とはいえ、ホタルイカ確保は毎回大バクチ。ほんのわずかな時間帯にタモ網片手に必死で挑む『すくい』は、新月の夜、満潮で大潮、凪(なぎ)など全ての条件が整い、なおかつポイントが1メートルでもずれていたら即アウト。あっという間に他の人に捕獲されてしまう」と話す。

 「ちなみに昨年は往復3時間の道のりを6回出向いてやっと50匹。全然商売にならなかった(笑)」と坂本さん。「今年は3回目の挑戦で当たりを引けたのでラッキーだった。はっきり言って趣味の世界で経費は相変わらず赤字だが、今回はお客さまになんとかご提供できる分がストックできたので少しホッとしている。時期が過ぎると大きくなりすぎて食味が理想的でないので次の出動は未定」と笑顔を見せる。

 韓国出身の祖父母をルーツに持つ在日3世の坂本さんは、東京・麻布にある韓国料理店と本場・韓国で料理修業を積み一昨年12月、生まれ育った神岡町に同店を開店。

 「韓国修業時代には、店や家庭で食べるキムチのほとんどが工場で生産されていることに衝撃を受けた。昔からある習慣が廃れゆく現状をこの目で見て、飛騨も韓国も同じ問題を抱えているのかもしれないと感じた」と坂本さん。「幼少期から地元のおいしい野菜で作った母親のキムチが大好きだった。だから自分は、これからも地元にある旬の食材を使った手作りにこだわっていきたい」と意欲を見せる。

 店内には、白菜キムチ、大根キムチ(以上、200グラム430円)、ネギキムチ(90グラム380円)、エゴマのしょう油漬けキムチ(60グラム490円)から、肉厚のハチミツ漬け紀州南高梅を使った梅干しキムチ(130グラム680円)といった珍しい物まで、常時10種類ほどの自家製キムチを取りそろえる。

 このほか、チャンジャ(タラの胃、イカ、タコ、全て100グラム490円)、とんちゃん(300グラム980円)、オーダーを受けてから作るパジョン(=チヂミ、1枚480円)など、20種ほどある日替わり韓国総菜メニューや、韓国から取り寄せた化粧品、雑貨、菓子、食材が並ぶ。

 4月1日からは、チャプチェ、ビビンバ、チゲ鍋、サムゲタン、韓国冷麺など季節ごとにメニューを変えた日替わりランチも始める(ご飯、スープ、キムチ、おかず付き、月~金曜=880円、土曜=サムギョプサル1,480円)。

 営業時間は10時~18時、18時30分~22時はコースディナータイム(1日2組限定、要予約)。日曜定休。ほぼ全ての商品が地方発送可。問い合わせは同店(TEL 0578-84-0003)まで。

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