飛騨市古川町の飛騨とらふぐ研究会(TEL 0577-73-7006)が4月中旬、同町中心部に直営店「飛騨とらふぐ道場」をオープンする。
2012年2月、飛騨地域で初めてトラフグの陸上養殖に成功した深田哲司さんが会長を務める同研究会の直営店出店は今回が初めて。
店舗面積は15坪。これまでふぐ料理の文化が無かった飛騨の地で、地元料理人がスキルアップを図る修業の意味合いから「道場」と名付けた。研究会の育てた「飛騨とらふぐ」を扱う地元の旅館や居酒屋、洋食店の料理人7人がランダム交代で調理場に立つ。
メニューは創作料理コースのみで、料金は1人3,500円。刺し身のてっさを含む通常なら総額1万円以上のコース料理7~10品を「破格」で提供する。料理の独創性や接客態度などを採点するアンケートに答えた利用客はさらに500円引きになる。完全予約制で入店は1日5人まで。
アンケート結果は月1回ごとに集計し料理人ランキングに反映。師範~初級に割り振った番付を店内カウンターの壁に掲示する。深田さんは「番付は消費者のニーズを知る手掛かりになればとちょっとした遊び心のつもりで考案した。料理人たちから猛反対されるだろうと思っていたが、みんな意外にも面白いと乗ってくれた」と話す。
「お客さまから忌憚(きたん)のない意見をたくさん聞きたい。料理人たちには新メニューを試す場として道場で存分に腕を振るってもらい、リベンジ策として自店の誘客にもつなげてもらえれば」と期待を寄せる。
深田さんによると、初めて陸上養殖に成功した当時110匹だったというトラフグも、新たな観光の目玉として飛騨とらふぐのブランド化を目指す地域の後押しもあり、今では4000匹を育てるまでに拡大。現在月平均100匹を出荷しているという。
飛騨とらふぐ1匹キロ当たりの卸単価は約4,000円。道場では客1人に対し半身分を提供するため利益は薄いが、現場で生の意見を聞きながら新メニューのスピード開発に取り組めるメリットを何より最優先したという。「まだまだ先は長い。甘い言葉に浮かれず本物の地域観光活性を盤石の基礎の上に築きたい」と意欲を見せる。
営業時間は11時30分~14時。料理人らが比較的融通のきくランチタイムをメーンに、開店日も各人のスケジュールに合わせ変動する。道場は今後1年間をめどに同業態で運営する方針。予約・問い合わせは同研究会まで。