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「飛騨家具の車いす」が完成-大阪の展示会で正式発表

製造中の「ホイールチェア」と白川社長

製造中の「ホイールチェア」と白川社長

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 高山の木工家具メーカー「シラカワ」(高山市漆垣内町、TEL 0577-32-3066)は今月、自社のダイニングチェアがそのまま利用できる車いす「ホイールチェア」を完成した。2月15日・16日に大阪で開く展示会で7パターンを正式発表し、一般発売する。

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 社長の白川勝規さんは「ホイールチェア」について、「当社で製造するほぼ全てのダイニングチェアが対応可能で『普段使いの椅子』がそのまま車いすになるのが最大の特長」と話す。車いすのベースとなるフレーム部分から開発に携わり、研究と改良を重ねて約2年半かけて完成、量産体制にこぎ着けた。すでに高山市内のホテルや旅館、レストラン数社から購入予約が入っているという。

 開発のきっかけは、「座り心地の良いダイニングチェアを車いすにしたら喜ばれるのでは」との話を交わしていた取引先の社長が、脳出血で倒れたことだった。白川さんはその後、「倒れた社長に自社製品を使った車いすをプレゼントすると誓った。その一心が最後まで開発の支えになった」と語る。

 「『量産は不可能』と競合メーカーは皆諦めていたテーマだったが、お金じゃなく絶対にやり遂げなければならないと心に決めていた」と白川さん。愛知県のパイプ加工メーカーや車いすパーツメーカー、車いすの専門家らと連携し、構造の基本から重心、車軸の位置や使い勝手に至るまで徹底的にこだわり、8台の試作品を経てようやく納得のいく1台を完成した。

 座高はダイニングセットの他のチェアと同じ高さに調整した。椅子の幅は室内利用を考慮し、住宅用小型エレベーターの中でも楽に旋回ができる。フレームカラーは落ち着いたブラックを採用。チューブレスタイヤや安全性を考慮したホイールデザインなど使い勝手にも気を配っている。

 販売価格は15万円前後。選ぶ椅子によって価格が変わる。「メンテナンスの一環として、『シラカワ』製品であれば、手持ちの椅子に10万円を追加することで車いす仕様の変更に対応する。長く自社製品を使っていただければうれしい」と白川さん。

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