飛騨古川に岸和田の「だんじり」-被災地応援だんじり曳行プロジェクト

だんじりを引く飛騨市民ら

だんじりを引く飛騨市民ら

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 飛騨市古川町の弐之町通りで11月10日・11日、大阪・岸和田のだんじりをえい行するイベント「引き綱を絆に」が開催された。主催は一般社団法人「被災地応援だんじり曳(えい)行プロジェクト」(大阪府岸和田市)。

飛騨路を進むだんじり

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 同プロジェクトは、本物の岸和田の「だんじり」が全国各地に出向き、地域住民と交流しながら支援金を募り一路北を目指すもの。だんじりと引き綱は来年3月、東北の被災地に寄贈される。

 代表理事を務める梶野康博さんは「岸和田だんじり祭りの現役を引退した者が中心となって、地元有志と活動している。私たちにはお金や支援物資を大量に送る力はないが『だんじり』がある。日本全国のいろんな人にだんじりを引いてもらい、引き綱に込めた思いと共に被災地に届けたい」と話す。

 「全てが人の縁でつながり、絶妙のタイミングで事が進んでいる」と梶野さん。「震災で校舎を流された石巻市の高校が修学旅行で岸和田を訪れた際、生徒から『動くだんじりを一度見てみたい』と聞いた。そんな時、ちょうど地元工務店に引き取られていた古いだんじりが偶然手に入った。明治10年に製作され7年前まで現役だったもの。早速メンテナンス修理を行い、この『老だんじり』と共に全国を巡る旅が始まった」と話す。

 同プロジェクトではこれまでに、和歌山県、大阪府、兵庫県、滋賀県、岐阜県恵那市など5府県7カ所で同様のイベントを展開している。

 飛騨開催のきっかけは、プロジェクトメンバーの関係者が飛騨出身だったことから。当日は、飛騨市民や飛び入りの観光客など老若男女延べ300人以上が参加。岸和田の人々と共に長さ60メートルの手綱を握り、おはやしに合わせて1時間、全長5メートル、高さ3.7メートル、重さ約3.5トンのだんじりが、秋晴れの飛騨路をゆっくりと引き進められた。

 えい行に参加した地元女性は「普段なら女性は触ることもできないと聞いている。貴重な体験ができてうれしい。引き綱に伝わるだんじりの重みが、そのまま復興の重みと重なった。みんなが同じ方向を目指して力を合わせないと真の復興はかなわない。当たり前なのに忘れかけていたことを思い出させてくれた岸和田の人に感謝したい」と話す。

 えい行イベントを終え、岸和田のメンバーは「飛騨の自然や町並みの美しさに感動した。岸和田のだんじりを温かく迎え入れてくれた飛騨古川の方々の心意気にも感謝。初めて経験するだんじりなのに、動かし方の飲み込みが早いのには驚いた。聞けば、この地域にはだんじりに似た祭りがあるとのこと。ぜひ一度生で見てみたい。飛騨で出会ったたくさんの笑顔と元気を次の開催地につなげます」とほほ笑む。

 「岸和田のだんじりが市外に出るのはこれが初。冬は路面状況により安全を考慮して出向けない所もあるが、来年3月までに日本全国で呼んでいただける地域があれば、ぜひ声を掛けてほしい」とも。

 今後の開催スケジュールはホームページでも確認できる。

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