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高山で「ホタル鑑賞会」-地域ぐるみでホタルの飛び交う景観守る

ホタル鑑賞に訪れた地域住民たち

ホタル鑑賞に訪れた地域住民たち

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 高山市中切町の三枝(みえだ)小学校と同小周辺のゲンジボタル生息地で6月24日、「ホタル鑑賞会」が開催された。主催は「三枝ほたる保存会」。

三枝地区に生息するゲンジボタル

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 毎年、ゲンジボタルが飛翔するこの時期に合わせ同保存会が一般に向け行っている鑑賞会には、地元各地から約100人が訪れた。参加者らは、同小体育館で保存会の活動やホタルの特性・観察の注意点などを学んだ後、同小敷地内にある「ホタル夢ランド(飼育小屋)」や地元住民が飼育・保全している周辺の生息エリアを回りホタル鑑賞を楽しんだ。

 飛んでいるホタルの姿を携帯カメラで撮影しようと苦心する人、じっとしているホタルを間近で観察する人、自宅から縁台を持ち出しホタルの光をさかなに酒盛りを始める人など、思い思いのホタル鑑賞を子どもから大人までが楽しみ、夜遅くまで歓声が響き渡っていた。

 同地域では「ホタルが飛び交う美しい町・三枝」をテーマに、25年ほど前から地域ぐるみでホタルの繁殖活動に取り組んでいる。きっかけは1986(昭和61)年夏、当時三枝小学校6年生の女子児童2人が夏休み研究作品として出品した「ホタルの研究」。同児童らが翌春の卒業式に苦労の末育てたホタルの幼虫3匹を放流したことから、同小に「ホタルクラブ」、PTAに「ホタル委員会」、地域に「三枝ホタル保存会」などが次々と結成され、家庭用水槽でも扱える人工飼育装置の発明や環境調査・保全活動など、現在も熱心な活動が行われている。

 同保存会の山本良吉さんは「ホタルは人間と共生する生き物。昔は高山のあちこちでも当たり前のように飛翔光景が見られたが、今では環境整備工事や農業政策などによる水生環境の変化で個体数が激減している。ホタルの飛び交う風景を取り戻すには人間の手助けが必要急務」と話す。

 「当地区では現在、小学校・PTA・保存会のほかに6軒の個人宅でホタルの人工飼育や環境保全を行っている。活動を振り返って考えると、ひょっとしたら子どもがきっかけでなかったら、ここまで大人が熱心に継続していなかったのではないかと思う。今後もずっと地域ぐるみでホタルの里を守り続け、私たちもホタルと同じ良い環境で生活していきたい」と山本さん。

 同地区ではこれから、ゲンジボタルよりやや小ぶりのヘイケボタルの飛翔も始まり、8月ころまでホタル鑑賞が楽しめるという。

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