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飛騨古川のレジデンススペース「五+」で間伐材使った新楽器「ごとん」作り

そえぞれがテーマに沿った「ごとん」を制作した

そえぞれがテーマに沿った「ごとん」を制作した

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 飛騨古川のレジデンススペース「五+(ごとう)」(飛騨市古川町)で3月22日、ワークショップ「ごとうのごとん~ひだの木でつくる音のはこ」が開催された。

「GOTONE(ごとん)」

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 元「クレープごとう」の空き店舗を住居として借り受けた家主の松本剛さんが主宰する同スペースでのワークショップは今回が初めて。「ごとん(GOTONE)」は、打楽器「カホン」の構造ををヒントに飛騨にある針葉樹の間伐材で作った新考案の楽器。

 名前の由来は、「カホン」と屋号の「ごとう」を組み合わせた語呂、英訳の「音(トーン)」、本体を置いた時の「ゴトン」という擬音から。本体両面には棒を差して弦が張れる穴が開いており、調整すれば音階を出すことができるほか、中に物を入れて振る、弦に物をぶら下げて弾く、たたく、など楽しみ方は無限。

 昨年、松本さんの友人であるデザインユニット「シンプル組合」のデザイナー・門倉未来さんが飛騨に遊びに来た際、間伐材を割り箸に加工する工場を見学したのがきっかけ。その後、ドイツ・ベルリンを中心に活躍する家具デザイナーで大工のマティアス・ジョフロワさんの協力を得て、門倉さんと共同開発した。

 開発した両者を講師に迎えて開かれた当日は、午前と午後合わせて約30人が参加。中にはうわさを聞きつけ遠く四国から来たという参加者も。制作前は、「山」「星」「月」「春」「おもち」など秘密のキーワードが制作者にのみ伝えられ、それぞれがキーワードのテーマに沿った「ごとん」を制作した。完成後はキーワードを当てるクイズ演奏会が開かれ盛り上がった。

 参加者の一人は「間伐材の活用に興味があり参加した。工作の手順に日本とは違う国柄が出ていて新鮮で面白かった。ベースは同じなのにアイデア次第で無限にカスタムできるのでいろいろな可能性を感じる楽器」と話す。

 門倉さんは「現代音楽家の友人が言語と音の関係を調べていて、私も気になっている。今日は抽象的で意外性のある言葉を音で表現してもらったら面白そうと思い各自のテーマを考えたが、大人の参加者がこんなに盛り上がるとは思わなかった(笑)。言葉を覚え始めの子どもにぜひ遊んでほしい」と笑顔を見せる。

 マティアスさんは「今回は全く初めての試みで材料もギリギリだったので、出来上がりサンプルもなく、何ができるのか何のための作業なのかも分からない状況の中、多分みんな受動的なのではと思って心配していたが、逆にとても積極的だったので驚いた。音の出し方なども研究熱心で、例を示さなくても個人がすごい速さでどんどん新しく開発していく」と舌を巻いていた。

 同スペースについて、松本さんは「一昨年、東京から移住しここに住み始めて以来、地元の方々から『クレープは売らないのか』との問い合わせが相次いでいる(笑)。聞けば、かつて飛騨にクレープが上陸した第1号の専門店だったらしく、古川町では知らぬ者のいない有名な場所だった」と話す。

 「せっかくなので、『クレープごとう』にあやかり、この場所を『五+(ごとう)』と名付けた。『アーティストインレジデンス』をコンセプトに、今後もいろいろなご縁とご縁をつなぎ古川の味わいを深めるスペースにしていきたい。飛騨の町に初めて東京からクレープが来た当時のようなワクワク感を感じられる場所になれば」と期待を寄せる。

 「ごとん」の詳細はホームページでも確認できる。

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