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岩手県大槌町の河川敷に菜の花を-大震災から3年目、「細く長くこれからも」

14時46分、東日本大震災被害者の慰霊を弔う黙とうがささげられた(高山市総合福祉センターで)

14時46分、東日本大震災被害者の慰霊を弔う黙とうがささげられた(高山市総合福祉センターで)

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 高山市総合福祉センター(高山市昭和町)で3月11日、岩手県大槌町の河川敷を菜の花でいっぱいにする「幸せの黄色い花プロジェクト」が今年も行われた。

プランターに種を植える参加者たち

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 東日本大震災直後の4月、県の災害復旧ボランティアとして飛騨から岩手県大槌町入りした隊員たちが出会った一人の地元男性がきっかけで始まった同プロジェクトは今年で3年目。

 当時、家財道具などが散乱し荒れ果てた現地の河川敷で、一人黙々と片付けに没頭していたその男性の名は金山文造さん。金山さんは「突然亡くなってしまった友が空の高いところから見守ってくれるよう、幸せの黄色い花いっぱいの河川敷を作りたい」と話したという。

 「この出来事を過去の思い出として記憶の奥底へしまい込んではならない」と強く胸を打たれた隊員たちは、遠く離れた飛騨の地で毎年必ず菜の花を咲かせて種を送ると金山さんに約束し大槌町を後にした。

 以来、毎年3月11日になると市民から募った有志にペットボトルの手作りプランターを配布し、各自菜の花を咲かせて種を作り集める活動を呼び掛けている。これまでに、800グラム(一昨年)と900グラム(昨年)の種が大槌町に届けられた。

 この日は、子ども連れや高齢者を中心に約100人が会場に集まった。菜の花と大槌町産ワカメなどをふんだんに使ったみそ汁も振る舞われ、にぎやかなムードの中、用意された120基のプランターは全て各家庭へと巣立っていった。初めて菜の花を育てる参加者たちは、「水をやり過ぎないように」「寒い日は室内に入れて」などスタッフの育て方アドバイスに真剣な表情で耳を傾けていた。

 会場では、「3.11」の文字をかたどったプランターを囲み復興支援ソング「花は咲く」を全員で合唱した後、14時46分、大震災被害者を追悼する1分間の黙とうがささげられた。

 この日、グループで参加していた年配女性たちは「震災のニュースを見たり聞いたりする度に、自分の孫や子どもに置き換えて胸が詰まり涙が出てしまう。私たちにはわずかなことしかできないが、被災地の方が少しでも心を癒やしてもらえるならば。今年も大切に花を育てて種をたくさん採りたい。細く長くこれからもずっと続けていきたい」と話していた。

 5月ごろ花を咲かせるという菜の花は、8月~9月にかけて種を収穫し10月上旬に大槌町に届けられる予定。

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