浄土真宗大谷派の若手僧侶らで組織する飛騨仏教青年会が3月11日、東日本大震災で被災した高田松原(岩手県陸前高田市)の倒木から作った「松のしおり」の販売を始めた。
高田松原は、かつて7万本のクロマツが全長2キロに及ぶ白砂の海岸に並んでいた国内屈指の名勝地。3年前の大震災で甚大な津波被害を受け、現在は「奇跡の一本松」として知られる場所となっている。
同会会長の三島大遵(だいじゅん)さんによると、被災地での復興支援活動を通じ知り合った福井県の僧侶から、現地で余っていた高田松原の被災マツの板材2枚を譲り受け、活用を任されたという。
しおりは地元木工メーカーの「オークヴィレッジ」(高山市清見町)に協力を仰ぎ約5000枚を製作。ハスの花びらをかたどった縦9センチ、横7センチで、それぞれ親鸞聖人の筆跡を写した「願」「慈」「道」の文字と、真蓮寺先代住職の故・三島富丸さんの描いた観音像の全4種類。
三島さんは「これまで現地住民の方々と関わってきた中で強く感じたのは『震災を、被災地を、私たちを忘れないでほしい』という思い。飛騨の地でもその声を心に刻みいつまでも忘れないよう、『心のしおり』としてずっと傍らに置いてほしいとの願いを込めた」と話す。
価格は1枚400円。真宗大谷派高山別院(高山市鉄砲町)本堂下にある自動販売機で販売している。売上金はマツが生きた地の「高田松原を守る会」に寄付される。